集団的自衛権の行使容認をめぐる自民、公明両党の与党協議は、行使を可能とする閣議決定案の大枠で実質合意した。政府は27日の与党協議に最終案を諮り、来週にも閣議決定する構えだ。

 この間の与党協議は、憲法9条の下で「専守防衛」に徹してきた日本の安全保障政策の大転換につながる重大な問題を検討するには、あまりにお粗末な内容だ。

 政府・自民党がハードルの高い案を出したり、引っ込めたり。公明党に配慮した代案を出して譲歩の姿勢を示しながらいつしか自民党ペースで協議が進んでいる。「行使容認ありき」の駆け引きに終始した議論で「国のかたち」を変えるというのは、到底容認できない。

 24日の自民、公明両党による与党協議会では、歴代内閣が踏襲してきた「自衛権発動の3要件」に代わり、集団的自衛権の行使を認める新たな3要件の修正案について公明党が評価し、閣議決定への盛り込みで一致した。

 そもそも集団的自衛権の行使の条件となる新3要件は、1972年の政府見解を援用したものだ。しかし、その政府見解は、個別的自衛権の発動要件として示したもので、結論として集団的自衛権の行使を否定している。

 それを全く逆の結論を導き出して、行使容認の要件とするのはあまりに乱暴すぎる。しかし、公明党が難色を示したのは、拡大解釈の余地があるとした一部の文言だ。修正によっても、自衛隊の海外派兵に道が開かれるのは変わらないのである。

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 集団的自衛権行使の前提条件となる新3要件の修正案はこうだ。当初「国民の生命や幸福追求の権利が根底から覆される恐れがある」としていた3要件第1項の「恐れ」を「明白な危険」と書き換えた。また集団的自衛権行使の連携先を「他国」から「わが国と密接な関係にある他国」と修正した。

 いずれも、公明党の反対に配慮したものだ。しかし「明白な危険」や「わが国と密接な関係にある他国」に書き換えても、あいまいさは残る。「明白な危険」をどう捉えるかは、時の政権の判断であり、自衛隊の武力行使の範囲が広がる恐れも同様だ。公明党が反発していた、機雷掃海など国連の「集団安全保障」に基づく武力行使への自衛隊参加については、閣議決定案への明記は見送られたものの、将来の参加に含みをもたせた「玉虫色」の決着である。

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 集団的自衛権の行使によって何が起こるのか。リアリティーのない机上の議論が進んでいるとしか思えない。自民党の野田聖子総務会長は行使容認をめぐる議論に「血を流さないといけないリスクを国民に突きつけることになるが、きちんと伝わっていない」と指摘している。

 米軍基地が集中する沖縄は、集団的自衛権行使の影響を最も大きく受ける可能性がある。沖縄戦を体験した県民は肌感覚で、その危うさを感じているのである。

 国民不在の与党だけの密室協議で、結論を出すのは無責任きわまりない。