五月病。新年度になると就職、転勤、異動などに伴い新しい環境になり、ストレスは相当大きくなりがちです。多くの人はやる気を出して、なんとか新しい環境になじもうとして懸命に頑張ります。うまくなじめた人は次第にストレスも減り、日常生活も楽しみながら生きがいのある生活に戻れるものです。ところが、思った以上に新しい環境になじむことが難しく、努力する割には予定通りに物事が進まず叱責などを受け、へこむことが多くなる人もいます。4月当初の気力エネルギーを使い果たし、ちょうどゴールデンウイークが終わった頃に無気力、不安感、焦りなどの症状が出てくることを五月病と表現したりします。医学的に表現すると「適応障害」に当てはまることが多いものと思われます。

 「適応障害」とは国際的な診断基準によれば、ストレス性の出来事や生活の変化が起こってから1カ月以内に抑うつ気分、不安、心配、日常生活や仕事、学業などのいつもできることができなくなるといった症状が起こることを言います。さらに睡眠障害、食欲不振、だるさ、疲れやすい、胃が痛い、頭痛、肩こり、吐き気、発熱、体のふるえなどの身体の症状も合併することがあります。身体の症状だけが先にあらわれて、医療機関を受診したけど異常なしと言われて戸惑うこともあります。青年期だと攻撃的な言動や非社会的な行動として現れることもあります。小児の場合は夜尿症、幼稚な話し方、指しゃぶりのような赤ちゃんがえりの症状として出現することもあります。言葉で表現することが難しいがゆえに行動の異常という形で出現するのでしょう。

 適応障害という病名から推測できるように、病気の原因となるストレス原因の除去や軽減が最も重要と言えます。組織であれば人事異動で部署を変えることで対応できるかもしれません。中には転職という選択肢で回復した人もいます。たとえば引っ越しのように現在の環境を変えることで病状の改善が期待できる場合もあります。不眠、不安、抑うつ気分などは薬で対応できることもあります。また、漢方薬が効果をみせることもあります。

 症状が長引くとうつ病へと移行してしまう可能性もありますので、そうなる前に医療機関を受診されることをおすすめします。適度なストレスは人を成長させますが、過度のストレスは病気を生み出してしまうのです。「ほどほど」が何事にも大事だなと感じる今日この頃です。(松尾和彦・やしのきクリニック)