豊見城市内で2012年、くちばしに釣り糸が巻き付いた状態で一時保護され、回復後に放鳥されたクロツラヘラサギ「K96」が、繁殖地の韓国仁川の人工島で、子育てしている姿が25日、確認された。受難を乗り越えての2世誕生に韓国と沖縄の愛鳥家は目を細めている。

パートナーと一緒に巣を守るクロツラヘラサギのK96(右)=25日、韓国仁川(読者提供)

くちばしに釣り糸が絡まり、保護される前のK96=2012年3月4日、沖縄本島南部(比嘉盛一さん撮影)

パートナーと一緒に巣を守るクロツラヘラサギのK96(右)=25日、韓国仁川(読者提供) くちばしに釣り糸が絡まり、保護される前のK96=2012年3月4日、沖縄本島南部(比嘉盛一さん撮影)

 5月21日に木の枝を集め、岩場で巣作りを開始、同30日に抱卵、6月25日にひなが確認された。繁殖期の特徴である冠羽が伸び、首元は黄色みを帯びている。K96の雌雄の判別はできていないが、パートナーとみられる個体とカニなどの餌をひなに運んでいる。

 10年に韓国で生まれ、生態調査のために「K96」の標識を脚に付けられた。同年11月に越冬地の沖縄へ飛来。12年3月に針の付いた釣り糸がくちばしにからまり、餌を十分に食べられず、県や環境省が一時保護し、治療した。13年6月に沖縄から生まれ故郷の韓国へ初めて戻ったが、繁殖行動はなかった。

 13年12月に再び沖縄へ飛来し、越冬した。4月前半以降に韓国へ渡ったとみられる。

 K96を見守ってきた豊見城市の宮城国太郎さん(39)は「沖縄と韓国を往来するK96のストーリーを絵本に描き、子どもたちに読み聞かせたい」と喜んだ。

 クロツラヘラサギは東アジアのみに約2千羽が生息するとされ、環境省は近い将来における野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧1B類に指定している。(福元大輔)