泡盛マイスター協会(新垣勝信会長)が泡盛の醸造に欠かせない「黒麹菌(くろこうじきん)」を柱に沖縄特有の食文化と琉球泡盛のユネスコ世界無形文化遺産登録を目指して、9月に検討準備委員会を発足させることが27日、分かった。「和食・日本人の伝統的な食文化」の世界遺産登録活動に関わった農学博士の小泉武夫氏が提唱。沖縄の食や泡盛文化の特異性を学術的な面からも立証、アピールし、登録に向けた県民運動に盛り上げたい考え。(座安あきの)

小泉武夫氏の自筆書を手に、黒麹菌による食文化や琉球泡盛の世界遺産登録を目指す新垣勝信会長=26日、那覇市・泡盛マイスター協会

 黒麹菌だけを使って酒造りをしているのは世界中で沖縄だけとされる。泡盛単独ではなく、泡盛造りの基礎となる黒麹菌に焦点を当て、そこから派生する文化的価値を表現し世界遺産登録を目指す。東京農業大学などには黒麹菌に関する論文が多数あり、県や国への答申に向けた説得材料として活用できるとみている。

 現在、マイスター協会が県内外の有識者や業界関係者15人前後でつくる「黒麹菌・食文化圏における琉球泡盛の世界無形文化遺産登録推進に向けた準備委員会(仮称)」の人選作業を進めている。9月18日に那覇市内の同協会で開く第1回会合を、世界遺産登録活動の始動日とする計画だ。

 醸造・発酵学が専門で沖縄の食文化にも精通している小泉氏は「和食」の世界遺産登録に関わった経験から「沖縄の黒麹菌や泡盛が登録される可能性は極めて高い」と強調。マイスター協会主導の活動を全面的に支援する方針で、今後県や国を巻き込んだ登録活動へと発展させたい考え。小泉氏は「登録に向けた活動をすべて県民による手作りで盛り上げることができれば、とてもおもしろい取り組みになる」と期待している。

 同協会の新垣会長は「壮大な夢をかなえられるかは県民の盛り上がり次第。黒麹や沖縄の食文化の魅力をあらためて伝えていきたい」と意気込みを語った。

 食文化や酒が世界遺産に登録された事例としては、和食のほかに、メキシコの「リュウゼツラン景観と古代テキーラ産業施設群」や韓国の「キムチ作りの文化」がある。

 [ことば]黒麹菌 泡盛の醸造に古くから用いられてきたコウジカビ。原料である穀物のでんぷんを糖質に変える役割がある。酒の製造過程でクエン酸を大量に生成するため、ほかの麹菌に比べてもろみを強い酸性に保ち、雑菌による腐敗を抑えることができる特徴がある。温暖で多湿な沖縄の気候風土に最も適した麹菌とされている。