私は何度も九死に一生を得ているんです。

「体中、痛いところだらけ」という平良敏子さんだが、93歳と思えない速さで芭蕉布会館内を歩いた=大宜味村喜如嘉

 80代後半、(芭蕉布作りに使う)木灰で足に大やけどしました。皮膚移植手術が必要だといわれましたが結局手術せずにすんで、先生たちに「こんな奇跡があるかね」と言われました。

 4年前には、練炭が入ったバケツを両手に持って、階段から落ちましたが、骨折しなかった。頭も調べたんですが、「二十歳の生徒と同じくらい脳が若い」と言われてね。

 でも、体中すべて痛いところばかりですよ。目も耳も歯も足もすべて確かではない。

 毎朝4~5時に起きて、1時間くらい新聞を読んで、テレビ体操をします。7時には芭蕉布会館に着く。91歳まで自転車で通っていましたが、今は歩いて。家からちょうど千歩です。「つえを頼りに通う道」って口ずさみながら参ります。

 食事は、朝は豆乳を飲みます。お昼は仕事場にごはんだけ持ってきて、おつゆをつくったりして皆さんと一緒に食べます。

 夕飯は孫や嫁、息子が作ってくれる。何でも食べますが、私は肉が好きです。豚でも牛でも何でも、焼き肉にしたり、おつゆにしたりね。野菜は隣近所の人たちが持ってきてくれる。喜如嘉の野菜はおいしいんです。

 長生きのこつを聞かれますが、別にこれということは何もしてないんですよ。

 皆さんに大事にされ、生かされているから、ただ偽りのない仕事をして、ご恩返しをしようと心に誓っています。柳宗悦先生が「芭蕉布ほど正直な織物はない」とおっしゃった。どの行程で手を抜いたか、最後に分かるんです。

 私は自分が寝込むということを考えたことがないんです。逝くときは、仕事をしながらぽっくり逝けたらいいなと思います。

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 たいら・としこ 大宜味村喜如嘉出身。幼いころから芭蕉布に親しみ、1950年から本格的に芭蕉布作りを始める。2000年、国の重要無形文化財「芭蕉布」保持者(人間国宝)に認定。「喜如嘉の芭蕉布保存会」会長。