女性用の公共トイレは赤、男性用は青と、色使いがパターン化しているのは瞬時に判別できるようにしてのことなのだろうが、その配慮に、入り口で立ちすくむ子どもはいないだろうか

▼自分の性に違和感を持ち、学校に相談している県内の児童生徒の事例は1月現在、29件に上る。全国では606人。いずれも本人が望まない場合は人数に含んでいないし、相談していない子もいるから実数はもっと多い

▼学校側は、自認する性別の制服着用や職員トイレの使用などを認め、性別が分かる名前ではなく姓で呼ぶようにして教員や生徒間で共通理解を持つよう努めているという

▼県内では今後、養護教諭らを対象に、専門医を招いた研修会や教育相談の充実を図る。現場で、より細やかな対応が進むことを期待したい

▼その一方で、県内では男女別に分けない「混合名簿」が進んでいない。小中学校で1割程度、高校で3割と、全国平均の6~8割に比べて大きく下回っている(日教組、2011年度調査)

▼女子か男子かの象徴のような赤か黒かのランドセルから、カラフルになった子どもたちの背中は、ごく当たり前の風景になってきた。人権を尊重し、個性を育む時代に、性別の2元的な線の引き方はそぐわない。学校は、誰もが伸び伸びと安心して通える場所であるためにも。(与那嶺一枝)