今年、沖縄県で約5年ぶりにはしか(麻しん)患者の報告がありました。

 はしかはきわめて感染力の高い病気です。ヒトからヒトへ空気感染、飛沫(ひまつ)感染そして接触感染します。高熱、全身の発疹、カタル症状(咳(せき)、鼻汁、喉痛など)を特徴とする麻しんウイルスの感染症です。肺炎、脳炎を合併して死亡することもあります。治療は主に対症療法になります。

 県内ではこれまではしかの流行が繰り返されてきました。1998年から2001年に2回の流行で9人もの乳幼児が犠牲となりました。これを機に県内の小児科医、公衆衛生関係者、自治体の担当職員が全国に先駆けはしかの根絶を目指し「県はしか“0”プロジェクト」を発足させ、現在も活躍しています。

 これにより県内では05年にはしかゼロを達成しました。06年から08年も県外からの移入例から集団感染によるはしか発生が5件ありましたが、09年以降4年4カ月の間、報告はありませんでした。

 しかし昨年より東アジア、東南アジアではしかが流行しており、今年は日本国内でフィリピンやベトナム等から輸入例が多く報告されています。はしかの輸入例による病院内、家族内での集団感染が各地で発生しています。

 今年、県内ではしか患者の報告があり、医療機関や保健所などの対応が国立感染症研究所より報告されています。患者は50歳の男性で予防接種の有無は不明。1月23日までフィリピン渡航歴があり滞在中にはしかの患者と接触。24日に発疹があり、28日に医療機関を受診しました。

 すでにはしか疑いに対するマニュアルを作成されていた医療機関では、問診の時点ではしかを疑い隔離し接触者を大幅に減らしました。同日、保健所に届出し、速やかに検査、調査が行われ、はしかと診断されました。

 医療従事者ははしかの抗体価を測定しており、陰性者にはMR(麻しん風しん)ワクチンが接種済みでした。29日には県からマスコミを通じはしか発生について県民へ注意喚起し、各医療機関に情報を提供しました。その後、県内ではしかの報告はなく、二次感染は封じ込められました。しかし全国では流行していて、フィリピンなどで多数の犠牲者が報告されています。

 はしかはワクチンで予防できる病気です。1歳児の第1期と小学校入学前の第2期はMRワクチンを接種しましょう。渡航予定のある方もワクチン接種をお勧めします。(石川隆夫・石川医院)