【南大東】南大東島に生息する天然記念物で絶滅危惧種のダイトウオオコウモリが、ネコに捕食されていることが、「NPO(特定非営利活動)法人どうぶつたちの病院沖縄」(長嶺隆理事長)などの調査で分かった。被害を減らすためネコの頭数を制限しようと、どうぶつたちの病院が避妊・去勢手術費を、南大東村が本島に運ぶ航空費をそれぞれ負担する。村は、飼いネコに避妊手術を義務化する条例も視野に、希少生物保護へ本腰を入れる考えだ。(又吉健次)

右胸などを負傷した状態で見つかったダイトウオオコウモリ。かみ跡からネコのDNAが検出された=2013年1月、南大東村(東和明さん撮影)

 環境省は、南北大東島でのオオコウモリの生息数を約300匹と推定している。

 昨年1月、県鳥獣保護員の東和明さん(53)が、けがをしたオオコウモリを村池之沢の路上で助け、うるま市のどうぶつたちの病院に送ったが、まもなく死亡した。

 病院は胸や肩など7カ所の傷口周辺の皮膚を、茨城県の国立環境研究所に送付。ネコのDNAが検出された。

 東さんは2004年、オオコウモリをくわえたネコを目撃。これまでに、ネコが原因とみられる傷のあるオオコウモリを10回以上確認している。

 どうぶつたちの病院はことし5月、村へ調査結果を報告。ネコの避妊・去勢手術や啓発活動などに、「自然保護助成基金」(東京)から得た100万円を充て、30匹程度を手術する。

 村も、動物病院のある本島に空輸する費用約37万円を予算措置し、6月から受け付けを始めた。予算を付けたのは、ネコが生ごみをあさる、民家に入ってご飯を食べるなどの苦情が多数寄せられたことが理由だが、頭数抑制で病院側と意見が一致した。

 村は島内にいるネコを数百頭と推測。6月には、飼っている動物の種類や数を把握するためのアンケートを全世帯に配布した。また、1世帯で飼えるネコの数の制限、島外から持ち込む際の避妊・去勢手術義務化などを柱とした条例制定を考えており、愛猫家らを交えた委員会で話し合う考えだ。

 東さんは「ある種の生物が300匹という数字は、圧倒的に少ない。オオコウモリのすむ森は防潮・防風林の役割もあり、コウモリを守ることが基幹産業のサトウキビや人間を守ることにもつながる」と訴える。

 希少な野生動物にネコが被害を及ぼす例は、全国にある。県内では、北部でヤンバルクイナなどの捕食が確認されており、西表島ではイリオモテヤマネコへの病気伝染が懸念されている。国頭村や竹富町は被害防止のため、繁殖制限への努力を促す条例を定めている。

 ダイトウオオコウモリ 国の天然記念物で、南北大東島に生息する。体長20~25センチ、体重300~500グラムほど。日中はモクマオウなど高い木の上で眠り、夕暮れから餌を探して動きだす。ネコなどの食肉目が存在しない環境で進化したため、警戒心が薄い。雄は首回りの毛が黄金色で、雌は淡い。6月ごろに子どもを産む。