沖縄の行く末を左右する県知事選挙は、10月30日告示11月16日投開票の日程が決まっているが、候補者擁立をめぐって政治的な思惑が入り乱れ、例年にない複雑な様相を呈している。

 自民党の石破茂幹事長は7月4日、党県連会長の西銘恒三郎衆院議員ら県選出国会議員と11月の県知事選について話しあった。席上、石破幹事長は独自に実施した情勢調査の数字などを示し、仲井真弘多知事擁立に不安を示したという。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設計画について県内では依然として反対意見が根強い。埋め立てを承認した仲井真知事は県議会などで批判にさらされ続け、県外移設を主張する公明党県本は知事選への対応を決めていない。そのような状況で仲井真知事を擁立し、選挙に勝てるのか-そんな趣旨の発言だったようだ。

 だが、県内ではすでに後援会や保守系市町村長、議員らが相次いで仲井真知事に3選出馬を求め、知事も明言を避けているものの、立候補に強い意欲を示している。この状況で党本部の意向を受け入れ仲井真知事擁立を見送れば、「用が済んだから使い捨てた」との批判が支持者から湧き上がり、収拾のつかない混乱が生じるのは確実だ。

 自民党県連は週明けの7日、仲井真知事の擁立を正式に決める。

 知事本人が出るか出ないかにかかわらず、知事選は辺野古移設計画と知事の埋め立て承認の是非を最大の争点にすべきである。争点ぼかしは許されない。 

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 仲井真知事は普天間飛行場の「県外移設」を公約に掲げて当選した。慰霊の日の平和宣言でも「一日も早い普天間飛行場の県外移設」を日米両政府に求めた。「県外移設」を要求することと「辺野古移設」に反対することは同じ意味である。

 この公約を改め、政治信条に従って辺野古移設を容認するのであれば、少なくとも外部委員会を設置して検討し、県庁内部でも議論し、県議会でも慎重審議を重ね、公開性を担保した上で結論を出し、記者会見して事前に県民に見解を明らかにすべきであった。それが筋だ。

 だが、仲井真知事は何一つとしてこれらのことを実行せず、石破幹事長らと密室協議を重ね、あまりにも唐突に、一方的に、埋め立てを承認し、承認直後の記者会見では「公約を変えたつもりはない」「変えていないから説明する理由がない」と説明責任を果たすことさえ放棄した。

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 辺野古移設計画の是非と、埋め立て承認に至る手続きの是非とは切り離して論じるべきである。

 なぜなら、埋め立て承認問題は地方自治の根幹にかかわるだけでなく、「金になびく沖縄」というイメージを全国の人たちに植え付け、沖縄の人々の誇りさえ深く傷つけたからだ。この問題を「済んだこと」にしてはいけない。

 11月の知事選は、沖縄の望ましい未来像を問う選挙でもある。それだけに、泥仕合のない、公正でまっとうな選挙を求めたい。