〈梅雨空に「九条守れ」の女性デモ〉。集団的自衛権の行使容認に反対する行進に飛び入りで参加した体験を73歳の女性が詠んでいる。どんよりとした空と昨今の世相が重なり、思いがストレートに伝わる

▼さいたま市大宮区の三橋公民館が発行する公民館だよりから、この句が消えた。館内で活動する俳句サークル会員の作品を選んで掲載してきたが、今回は俳句欄自体がなくなった

▼「公民館や市の考え方だと誤解される」「偏った意見を載せるのはふさわしくない」が掲載拒否の理由だ。平和を願う気持ちを詠んだ句のどこが問題なのか。そもそも公民館は市民の文化活動を支援する施設ではないか。首をかしげてしまう

▼最近、憲法問題をテーマにした集会の開催を自治体が断ったり、政治性のある作品の展示に公立美術館がピリピリするといったケースが目立っている。政権に配慮した自主規制である

▼地方自治法は「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と定めている。表現の自由は、基本的人権の中でも民主主義を支える重要な権利である

▼行政は後難を恐れてしばしば事なかれ主義に傾きがちだが、それにしても「九条守れ」が偏った意見とは。憲法99条にある「憲法を尊重し擁護する義務」を果たしているのはどっちだ。(森田美奈子)