ダイオウイカやリュウグウノツカイなどの珍しい生物が今年、何度も網にかかり、話題になった。4月には福井県で高級食材のフグが大漁というニュース。例年の数十倍というから驚く

 ▼気候変動や環境の変化など、避けられない大自然のメカニズムの中で、人々は昔から大漁や五穀豊穣(ほうじょう)を祈願してきた。だがその人間の行為が自然や生き物、資源に及ぼす影響は大きい

 ▼山海の幸が豊かなやんばるでも、地域で親しまれた今帰仁村古宇利島のウニや名護市羽地のナマコなどが、販売目当ての乱獲により激減。各漁協や県は資源を守るため、漁規制に踏み切った

 ▼目の前に広がる海から、必要な分だけをいただいてきた大切な海産物。商品価値の高まりで根こそぎ捕られれば、危機に追い込まれるのは必至だ。日本人には大切なクロマグロも今や絶滅危惧種となった

 ▼そんな中、名護市源河沖で楽しみな事業が始まる。02年、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学の稚魚を沖縄の暖かな海で育てるという。完全養殖なら乱獲に歯止めもかかる

 ▼環境の変化に弱く、衝突死も多い稚魚は約30センチまで育てる段階が最難関。手がける羽地漁協は「期待と不安。でも地域を盛り上げたい」と意気込む。県内でおいしいマグロが心置きなく満喫できる日を首を長くして待ちたい。(儀間多美子)