自民党県連(西銘恒三郎会長)は7日、役員会、総務会を開き、11月知事選で仲井真弘多知事を擁立する方針を決定した。党本部から求められていた6月中の方針決定のスケジュールから遅れること約1週間。県連内で現職を主張していた幹部には安堵(あんど)が広がった。ただ、自民党本部内に現職再選に対する懸念があったのは事実。与党の一翼を担う公明党県本部との自公枠組み確認に先んじた知事への出馬要請となる可能性が高く、見切り発車にも映る。県連は選挙本番で「あうんの呼吸」(幹部)で自公体制が築けるとの期待を抱く。(政経部・銘苅一哲、東京支社・大野亨恭)

知事選で仲井真弘多知事を擁立する方向性を役員会で確認する自民党県連の西銘恒三郎会長(左から2人目)ら=7日、県議会自民党会派室

 7日午前9時。西銘会長は県議会の自民会派室で緊急招集した県連役員と国会議員に、仲井真知事を擁立したい考えを切り出した。

 理由は主に二つ。(1)5日の会談で本人の強い意欲を確認した(2)保守系の市町村首長も自主的に知事を激励する動きがある-。異論はなく、県内政局の天王山に向けた方針は1時間以内で決定された。

 西銘会長は「知事の出馬の意欲は99%」と表現する。関係者によると、知事は会談の中でこう発言した。

 「社民・社大・共産が与党の県政が誕生して、今までの振興を含めた政策の流れが止まっていいのか、自問自答している」

 それまで知事は今年75歳になる年齢を気にかけ「60代だったらすぐにでも出馬表明していた」と周囲に漏らしていた。会談での発言を受け自民県連側は知事の心境が3選に傾き、出馬に向け意欲的となっていると受け止めた格好だ。

 「仲井真知事の意向が全てだ」。7日、県連の方針を聞いた政府高官は強調した。普天間飛行場移設問題で名護市辺野古の埋め立てを承認した仲井真氏は政府にとって辺野古“実現”の立役者。政府内では仲井真氏支援の機運が高まっている。

 一方、党幹部が仲井真氏以外の候補者を探っていたことも事実だ。実際、党内には今でも「本当に仲井真氏で勝てるのか」との不安が渦巻く。一時は党本部が県連への選挙資金を止めるのでは、との話も駆け巡ったほど。4日に石破氏が西銘氏らを党本部に呼び、仲井真氏の擁立に難色を示したのは「誰も口にできなかった本音だ」(党関係者)との声もある。

 党関係者の一人は「仲井真氏が出ると言った以上、ほかの選択肢はない」と言い切る。しかし、党本部内では県連に対して「仲井真氏、公明県本との調整役になり得ていない」との不信感も残り、関係者は「党と県連の溝を埋めることが初めの仕事だ」と嘆く。

 普天間の辺野古移設に反対する公明県本内では、埋め立てを承認した仲井真知事への抵抗感がなお残る。

 裏を返せば、組織の基盤となる市町村議員の統一地方選がある9月までは埋め立てを承認した知事を推す判断はできないとの事情もある。そのため、自民県連が自公の枠組み確認を事実上先送りし出馬要請に踏み切ろうとする流れに幹部の一人は「やっと静かに地方選の準備ができる」と本音を漏らしつつ、指摘を加えた。「自民も現職以外に探せなかっただけだろう」