猛烈な風と雨で県内各地に大きな爪痕を残した台風8号。地球上空400キロの軌道を回る国際宇宙ステーションから飛行士が撮影した写真には、その「目」がくっきりと映し出されていた

▼「いつごろから、これを目と呼ぶようになったのですか。台風のオヘソと呼んでも、おかしくありませんね」と質問を受けた話を、気象エッセイストの倉嶋厚さんが著書『季節さわやか事典』(東京堂出版)に書いている。そう言われれば確かに。気象衛星がない時代にどうやって確認したのだろう

▼倉嶋さんの解説によると、1907年の英国の気象学の本にすでに「暴風の目」「雄牛の目」という一節がある。日本でも28年には「颶風眼(ぐふうがん)」が登場、「台風眼」もよく使われている

▼渦巻きの中心部にあって雲のない空洞。そこに入ると、風がやみ、青空がのぞき、太陽さえ顔を出す。気象学が発達していなかったころの人々も、嵐の中の静けさを経験から知っていた

▼台風一過の沖縄は、連日30度を超す暑さだ。高温注意情報の発令も続き、熱中症の起こりやすさを示す暑さ指数は最も高い「危険」や2番目の「厳重警戒」レベルに達している

▼太平洋沿岸を進んだ台風8号は関東の東海上で温帯低気圧に変わった。南の海上では次の台風が生まれている。見つめられたくない大きな瞳もある。(森田美奈子)