安倍政権の官邸主導の政権運営には大きな特徴がある。

 国政選挙に勝つことを最優先し、選挙では消費増税先送りなどの有権者受けする政策や安倍晋三首相の経済政策アベノミクスを争点に掲げる。

 選挙が終わったら、ここぞとばかりに、世論の反対が根強い特定秘密保護法や安全保障関連法などを法制化する。法案が成立したら次の選挙に備え再び軸足を経済に移す、という手法である。

 安倍首相は「憲法改正を私の在任中に成し遂げたい」と強い意欲を示し、参院選では改憲勢力で発議に必要な3分の2以上の議席をめざす考えを明らかにした。

 その後、安倍氏周辺から参院選にプラスにならないとの懸念が浮上し、例によって改憲のトーンを落とし始めているが、改憲勢力が3分の2以上の議席を獲得した場合、憲法改正がいよいよ現実の日程に上るのは間違いない。

 安倍政権の下で憲法改正を進めるべきか、進めるべきでないか。争点づくりを政党にゆだねるのではなく、有権者が主体的に争点を設定し、政党や候補者にぶつけ、対立軸をはっきりさせることが大切だ。

 沖縄の人々は戦後、米軍統治下にあって憲法の適用を受けなかった。復帰後も地位協定に基づいて基地維持が優先され、米軍関係者の事件事故が相次いでいる。沖縄では、憲法改正だけでなく、名護市辺野古の新基地建設の是非と地位協定見直しも極めて重要な争点だ。

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 安倍首相は、記者会見で消費増税の先送りを表明した際、参院選で「国民の信を問う」と語った。

 2014年11月の記者会見で首相は、消費税の引き上げ延期を明らかにし、「再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします」と説明。「重い重い決断をする以上、国民に信を問うべき」だとの理屈を掲げて解散に踏み切った。17年4月の消費増税は必ず実施するというのが、最大の選挙公約だった。

 今回、各種世論調査でも再延期を支持する声が多い中で再延期を表明したことについて「国民に信を問う」というのは責任逃れというしかない。問われるべきは、なぜ重大な公約を実現できなかったのか、という政治責任である。

 増税延期を支持することと、公約破綻を追及することとは切り離して考えるべきだ。

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 安倍首相は新たに、19年10月の消費増税実施を打ち出した。それまでに「アベノミクスのエンジンを吹かしていく」という理屈だが、首相公約の信頼性そのものが揺らいでいるのである。

 旧民主党と自民、公明の間で交わされた3党合意に基づく「社会保障と税の一体改革」は空中分解しかねない状況だ。今後、社会保障に必要な財源をどのように確保していくか。地方や低所得者にはアベノミクスの恩恵は十分に届いておらず、格差の拡大固定化が懸念される。これもまた参院選の大きな争点だ。