沖縄県宜野湾市が一戸建て住宅用地3件の固定資産税をそれぞれ約35年、約32年、約22年の長期間にわたって過徴収していたことが分かった。宜野湾市は6月までに2件の過徴収額の11年分、計約80万円を返金した。残り1件は手続き中だ。損害を受けた1人は「延滞金を含め税の請求が一時90万円を超え、借金して納税した。生活への影響は大きかった」と憤り、全額返金を求めているが、専門家は納税の証明や時効など現行法制度の壁に阻まれ難しいと指摘する。(湧田ちひろ)

 市によると、3件は70年~90年代に建てられた家で、いずれも課税当初から算定を誤っていた可能性が高いという。200平方メートル以下の用地には税額が最大6分の1となる小規模住宅用地特例があるが、適用されなかったことが原因。3件とも、納税者が市に問い合わせて発覚した。

■借金して納税 約22年間過徴収があったという女性(65)は、ことし4月と5月の2回にわけて、11年分の計約50万円の返金があった。「別の用事で市役所を訪れた際、たまたま固定資産税を調べてもらった」と発覚の経緯を語る。「多額の請求による精神的負担は大きく、借金して納税した。正しい課税額なら、借金はしなかったかもしれない」と憤慨する。

 この女性と約35年の2件については、地方税法の時効5年分と課税台帳で確認できる6年分の合わせて11年分を返金。市の要綱では、納税が証明できれば最大20年分の返金が可能だが、今回は適用されなかった。

 過徴収について市税務課は「市民に不信を抱かせてしまい申し訳ない」と陳謝。返金は「要綱に沿って対処する」とした。

■「氷山の一角」 固定資産税に詳しい沖縄税理士会の長濱正広報部長は「30年以上にわたる長期の過徴収はめずらしい」と話す。その上で「チェック体制が徹底されていない、短期間の異動で専門家が育たないなど、行政の構造的な問題がある。固定資産税の課税ミスそのものは氷山の一角」と指摘。返金の遡及(そきゅう)期間については「現行法では(納税が)立証できなければ難しい。時効もある」と法制度の限界を挙げた。

 固定資産税の長期過徴収をめぐっては埼玉県新座市でも6月、約27年間にわたり過徴収されていた夫婦の家が公売に掛けられ、発覚。市は国家賠償法などを適用して20年前にさかのぼり返金した。