「そこまでとは」。担当者がうなった。医者の安定確保を目指し、北部地区で実施した意向調査で、医師の25%が「北部以外で勤務したい」と思っていることが分かったからだ

 ▼都心部に比べ高度・最先端の医療に触れる機会の少ないやんばるで、医師不足は長年の課題だ。医師が自身のキャリアアップに悩み、さらに進学校や塾の少ない教育環境が、家族の不安を膨らませている

 ▼特に年間約千人が誕生する新生児の多くは、名護市内の2カ所の開業医が取り上げている。今はギリギリ持ちこたえているが、今後、やんばるで子どもが生めなくなる事態になりかねない

 ▼医療の充実は人々が安心して暮らし、観光を楽しんでもらう最低要素の一つ。調査の担当者らは「医師の75%は好感触を持ってくれている。住みたい、また来たいと思ってもらえる場所に」と語る

 ▼北部12市町村の自治体によって切実さに微妙な温度差もあり、単純に「やんばるは一つ」と言い切れない側面もあるが、基幹病院の設置や就学児のいない医師の確保、医師や家族の居場所となるコミュニティーのあり方など、工夫が必要だ

 ▼中央集権が進む中、ハード・ソフトの両面で地方の特色をどう生かし充実させるのか。巨大テーマパークの名護進出の話も出てきた。人を呼び込み、留めるための模索が続く。(儀間多美子)