深夜にばったり会ったその人は憔悴(しょうすい)しきっていた。「ミスをしたのだから、仕方ないです」

 ▼23年前、那覇市選挙管理委員会が市議選で千票の入力ミスをしたまま発表し、2日後に訂正した。当落こそ動かなかったものの、その選管事務局長は関係先に謝罪した帰りだと言った。実直で穏やかさが消えた顔と共に、選挙事務の厳しさが3年生記者の脳に刻まれた

 ▼今回は県選管が県議選でミスをした。いったん発表した国頭郡区の開票率100%の得票数を2時間20分後に訂正し、当選者と落選者が入れ替わった。翌日未明に集計ミスを謝罪したが、当落については9日の告示までは県選管によるものではない、と強弁した

 ▼本紙はじめマスコミ各社もウェブやテレビの速報で間違えた。選管発表に基づいた速報だからといって、責任は免れない。当落が入れ替わった結果は重大で、お二人と支援者、読者におわびするほかない

 ▼スピードの時代である。速やかに、公正な投票結果を伝えるのが選管とメディアの重要な役割だ。だからこそ、かつての翌日開票が即日と早まり、刻々と積み上がる得票数は30分おきに発表されるのである

 ▼選管が、告示で当選が確定するという形式論を主張するようでは、有権者の信頼を得られまい。選管自ら1票は軽い、といっているようなものである。(与那嶺一枝)