県内の各業界で従業員を確保できない人材不足が広がっている。従来から技術者の不足が深刻化している建設業界に加えて、ホテルやリネン、ビルメンテナンスなど観光関連業、運送業などで不足感が顕著になってきている。景気回復で客数や売り上げが増加する一方で、思うように人材を確保することができず、フル稼働できない状態が続いている。東京商工リサーチ沖縄支店は「人材不足はサービスの質の低下につながり、改善できなければ集客減や売り上げ減による倒産が発生する可能性もある」と指摘している。

人員の確保が不足しているホテル客室の清掃業務の様子=16日、那覇市内ホテル

人員の確保が不足しているホテル客室の清掃業務の様子=16日、那覇市内ホテル

 県内全域のホテルを中心にベッドシーツやタオルなどの客室リネンを卸すニューラッキーランドリー(読谷村)はことし、観光客の増加を受けてホテルからの受注が昨年実績を10%以上上回るペースで増え、過去最高を更新する見通し。だが、リネン工場の要員に加え、配送人員の不足が大きな課題となっている。担当者は「残業を増やしたり、パート社員をフルタイムにして対応しているが、追い付かない」と話す。

 ホテルや商業施設、テナントビルなどの清掃業務を請け負うビルメンテナンス業では、登録社員の高齢化で若手人材の不足が課題だったが、状況はさらに深刻さを増している。北部中心だった大型ホテルの増加が中部や那覇地域にも広がり、整備員の確保や調整に頭を悩ませているという。業界団体の担当者は「ホテル間の競争も激しく、客室単価を上げられない中では清掃業務の値下げ要求も強い。契約を諦めて撤退する業者も出てきている」と明かす。

 運送業の沖縄西濃運輸(宜野湾市)は昨年から、2トン以上のトラックを運転できる資格者やIT関係の技術者の確保が難しくなってきた。取扱量は消費増税後も衰えることなく、新たな需要も出てきている。担当者は「人員不足で業務拡張は進められない。給与を上げて募集をしても集められない」と窮状を訴えた。

 建設業では、鉄筋工や型枠工などを中心に人手不足が続き、工期延長になった工事の対応に追われている状況。県建設業協会は人材難に対応するため、6月から技能者の育成に取り組む。企業の継続雇用を条件に、最長8カ月の賃金助成が受けられる事業を導入した。

 りゅうぎん総合研究所の久高豊常務は「デフレからインフレ基調に経営環境が変わる中、雇用条件改善や省力化投資などの企業努力も求められ始めている」としている。