大学4年の夏休み、仲間たちと嘉手納基地のフェンス沿いを歩いた。極東一といわれる軍事基地の大きさを体感するのが目的だった

▼周囲約17キロメートル。嘉手納町屋良に差し掛かったとき、戦闘機が離陸した。空から押しつけられるような衝撃と爆音に身を縮めるしかなかった。住民の過酷な状況を痛感させられた

▼那覇市で生まれ、大学で政治学を学び、基地の重圧は頭では分かっているつもりだった。薄っぺらな知識は吹き飛ばされた。20年以上前の炎天下での体験が取材の原点になっている

▼「何が起こっているのか自分の目で見ないといけんだろう」。18日付本紙朝刊30面に掲載された名桜大1年の小波津義嵩さん(18)の言葉だ。同じ1年の馬場祐作さん(18)と17日、新基地建設で市民らが抗議行動する名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前に初めて訪れた

▼同世代の間で「基地がないと、沖縄は中国に攻められる」「基地に反対しているのは一部の過激な人たち」という話題が増えたという。抗議する人の話を聞き、生活と命を守るために反対していることを2人は知る

▼メディアやネットでは様々な情報が飛び交う。もっともらしく聞こえる話が実態とかけ離れていることは少なくない。現場を訪ね、自分の目で見て、自分の耳で聞くことが事実を見極めることにつながる。(与那原良彦)