紛争地上空を飛んでいた民間航空機が撃墜された。こんな理不尽な悲劇があってはならない。許し難い犯罪行為と言わざるを得ない。国際社会は、全力を挙げて原因を究明し、紛争の終結を図らなければならない。

 マレーシア航空のアムステルダム発クアラルンプール行きの旅客機が17日、ウクライナ東部ドネツク州近くのロシア国境付近で墜落し、乗客乗員298人全員が死亡した。

 現場付近は、親ロシア派武装勢力が実効支配し、ウクライナ政府軍との戦闘が続いている。

 4月以降の戦闘で親ロシア派がウクライナ軍機をミサイルで撃墜しており、マレーシア機は親ロシア派がウクライナ軍機と誤認して撃墜したとの疑いが強まっている。

 米政府は、撃墜に使われたのはロシアが親ロシア派に提供した地対空ミサイルだった可能性が高いとみているが、ロシアは武器供与を全面否定しており、親ロシア派もミサイル保有や撃墜への関与を否定、撃墜したのはウクライナ政府側だと反論している。

 マレーシア機には、オランダやオーストラリア、英国、マレーシア、インドネシアなどさまざまな国の人々が乗っていた。85人の子どもや国際会議に出席する研究者らも含まれていた。紛争と無関係な外国の多数の市民が、撃墜によって犠牲になったのは、国際的大惨事である。

 ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力の双方は、ただちに停戦し、国際調査団を受け入れ、原因究明に協力しなければならない。

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 やりきれないのは、マレーシア機撃墜現場の悲惨な現状である。砕け散った機体の残骸や遺体が約15キロ四方に飛散し、遺体収容や引き渡しは進んでいない。ウクライナのポロシェンコ大統領は、現場調査や遺体の回収を親ロシア派が妨害していると非難した。

 現場では、銃を構えた親ロシア派組織のメンバーらが警戒し、立ち入りを制限している。現地入りした欧州安保協力機構(OSCE)は武装勢力に制止され、機体の残骸などに自由に近づけなかったという。

 親ロシア派は、飛行データを記録したブラックボックスを墜落現場から持ち去ったり、機体の残骸を重機で動かす作業を始めている。国連安全保障理事会の欧米メンバー国は、親ロシア派組織に現場保存を要求し、関係国に原因調査への協力を求める内容の決議案を採択する方針を決めた。親ロシア派は早急に調査を受け入れるべきだ。

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 クリミア編入などウクライナ情勢をめぐり米国とロシアの関係は冷え切っている。米国はロシアが親ロシア派に武器供与を続けているとして新たな経済制裁を発動したばかりだった。

 欧米各国は、調査団の自由な活動を保証するよう、ロシアが親ロシア派武装勢力への影響力を行使するよう圧力をかけている。

 国際社会は、調査で協力する機運を高め、ウクライナの和平に向けた仲介に乗り出すべきだ。これ以上の犠牲者を出してはならない。