中国製の輸入食品をめぐって「食の安全」を脅かす問題がまた明るみに出た。

 中国・上海の食品会社「上海福喜食品」が使用期限が切れた鶏肉を使っていた疑いが強まり、仕入れていた日本マクドナルドとファミリーマートは一部メニューの販売を中止した。地元テレビ局が、床に落ちた肉を製造ラインに戻したり、古くなった肉を混ぜたりする場面を生々しく告発した。カビが生えたように変色した肉も確認できる。

 2002年から取引を始めた日本マクドナルドは人気メニューの「チキンマックナゲット」の約2割を同社から輸入しているが、販売を中止した。同社のナゲットを販売したことのある店舗は関東を中心に1都10県、国内全体の約4割に相当する。沖縄は含まれていない。日本マクドナルドは、タイ製などに切り替え販売を順次再開している。

 ファミリーマートは7月から「ガーリックナゲット」用に輸入。国内のほぼ全店に当たる約1万店で販売を中止した。東京都などで試験的に始めた「ポップコーンチキン」の販売も取りやめた。

 国内で取引が確認されているのは2社だけで、今月までの1年間に約6千トン輸入していた。マックといい、ファミマといい、大人から子どもまで広く利用する。健康被害の報告がないのが幸いだ。

 看過できないのは、使用期限切れ鶏肉の再利用は上層部の指示で長年の慣行であると上海福喜食品の責任者が捜査当局の調べに供述していることだ。組織ぐるみの疑いが濃厚だ。捜査当局は関係者5人を拘束、関連商品約100トンを押収した。全容解明を急ぎ、公表しなければならない。

    ■    ■

 日本は海外からの輸入食品にカロリーベースで約6割を依存する。食料自給率は約4割にすぎず輸入食品なしでは国民の食生活は成り立たないといっても過言ではない。

 鶏肉製品は輸出入統計では焼き鳥や鶏の空揚げなどの「鶏肉調製品」に含まれるとみられる。2013年の鶏肉調製品の輸入は、約44万トンで中国が約22万トンと最も多い。中国の食品安全が日本の安全に直結するゆえんである。

 日本は「食料輸入大国」に見合った監視体制を取っているだろうか。食品輸入に際しては検疫所で検査を実施しているが残留農薬や添加物などに比べ、使用期限切れはチェックが難しいといわれる。

 今回、問題は中国で発覚しており、日本では検疫過程をすり抜けている可能性が高い。監視体制が万全かどうか検証する必要がある。

    ■    ■

 輸入食品の安全は生命に関わる問題だ。安さを重視して安全をないがしろにすることは許されない。

 日本の輸入業者らが現地に赴き、短期間の「視察」で不正を見抜くのは至難の業だ。社員を常駐させるなど万全な体制を敷くことを考える時期ではないか。中国ではギョーザ中毒事件など食の安全を根本から崩すようなことがたびたび起きているからだ。

 中国の存在感は増すばかりだが、食の安全への意識が低いままでは大国の名に値しないことを肝に銘じるべきだ。