イスラエルと、イスラム原理主義組織ハマスの戦闘が泥沼化している。ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の軍事作戦による死傷者数が拡大し、事態は悪化の一途をたどる。暴力の応酬は互いの憎しみを増幅させるばかりだ。国際社会は結束して紛争当事者に早期停戦を働き掛けるべきである。

 ガザの当局者によると、今月8日の軍事作戦開始以降、ガザ地区の死者が730人を超えた。多くはハマスとは無関係の一般市民であり、国連児童基金(ユニセフ)によれば、少なくとも146人の子どもが犠牲になった。

 イスラエルは「鉄のドーム」と呼ばれるハイテク防御システムで被害を最小限に抑えているものの、兵士32人、市民2人、タイ人労働者1人が死亡した。

 戦闘の発端となったのは、6月にヨルダン川西岸でユダヤ人少年3人が遺体で発見された事件だった。7月上旬には東エルサレムに住むパレスチナ人少年1人が殺された。

 報復感情が高まる中、ハマスがイスラエルへのロケット弾攻撃を急増させた。これに対し、イスラエルは激しい空爆で反撃に出た。

 イスラエルは17日、ガザ地区への地上作戦に踏み切った。ハマスがガザ地区とイスラエルの境界線周辺に造った地下トンネルと、ロケット弾の発射施設を破壊するのが狙いだとしている。

 しかし、一時的に制圧できたとしても、暴力と憎悪の連鎖を断ち切れる保証はない。

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 両者はこれまでも衝突を繰り返してきた。2012年の双方の戦闘の際は、ハマスに近いエジプトのモルシ政権が停戦合意を仲介した。しかし、昨年のクーデター後に発足したシシ政権は、ハマスと敵対している。今回、エジプトが段階的な停戦を提案したものの、ハマスが受け入れず不調に終わった。

 米国も、同盟国イスラエルの「自衛権」を尊重し動きが鈍い。ケリー国務長官がイスラエル入りし、23日にネタニヤフ首相と会談したものの、大きな進展はなかった。

 国連の潘基文事務総長もイスラエル入りしたが、停戦調停は平行線をたどり、事態打開の見通しはたっていない。

 戦闘が長引けば、内戦が続くシリアや、宗派間対立で国内が分裂状態にあるイラクの情勢にも悪影響を及ぼしかねない。米国はより強い指導力を発揮すべきだ。

 周辺諸国では、ハマスに影響力のあるカタールに注目が集まっている。ぜひともハマス指導部を説得し、和平への道筋をつけてほしい。

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 ガザ地区は、約365平方キロの面積に約170万人が暮らす人口密集地だ。境界で人や物の出入りが厳しく規制され、「巨大な監獄」とも指摘されている。

 逃げ場のない中で、攻撃によって多くの人が住む家を失った。病院はけが人であふれ、医薬品も底をつくなど人道的な危機にある。食料や医薬品、燃料などを早急に届けるべきだ。

 これ以上、一般市民の犠牲を出してはならない。