島しょ防衛を目的とした南西諸島の「不沈空母」化がすさまじい勢いで進んでいる。

かつてない事態だ。

 防衛省は、陸上自衛隊に導入する新型輸送機オスプレイ17機を佐賀空港に配備したいと、佐賀県に正式に要請した。米軍普天間飛行場に配備されている米海兵隊のオスプレイの暫定使用も想定しているという。

 陸上自衛隊はさらに奄美大島、宮古島、石垣島に駐屯所を整備し、島しょ防衛の初動を担う警備部隊を配備する計画だ。与那国町には艦船や航空機の動きを監視するレーダーを設置し、2015年度末までに沿岸監視部隊を配備する方針である。

 那覇空港を民間と共用している航空自衛隊はこの4月、那覇基地に早期警戒機E2Cの飛行隊(4機配備)を新設した。那覇基地のF15戦闘機部隊は、現在の1個飛行隊から2個飛行隊に増やす計画だ。それだけではない。F15による下地島空港(宮古)利用も防衛省内で検討されている。

 米海兵隊飛行場を新設するための辺野古埋め立て、航空自衛隊増強を想定した那覇空港の第2滑走路建設、陸自沿岸監視部隊を受け入れるための与那国町への駐屯地新設など、同時に進行する日米の基地建設の動きはその集中度といいスピードといい、あまりにも異様だ。

 政府が主張する沖縄の「負担軽減」は、看板に偽りあり。内実は半永久的使用に向けた「再編強化」であり、日米による沖縄の「不沈空母」化である。

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 1983年1月、日米首脳会談のため訪米した中曽根康弘首相は、ワシントン・ポスト紙幹部との朝食会で「日本は不沈空母のようなもの」だと語った。中曽根元首相の「不沈空母」発言と、宗谷、津軽、対馬の「三海峡封鎖」発言は冷戦時代、ソ連の出口を封じる対ソ戦略として打ち出されたものだ。

 防衛省は今、ハリネズミのように南西諸島の防衛態勢を強化している。だが、軍事面の対応だけが突出し、中韓両国との首脳会談はいまだに実現していない。「地球儀俯瞰(ふかん)外交」と称して安倍晋三首相が世界各地を歴訪しているにもかかわらず、肝心の隣国との関係は冷え込んだままだ。対話不在の軍備依存は、危うい。

 安倍首相は、国会の「数の力」と、国内の「中国脅威論」を最大限に利用すれば、念願の「戦後レジーム(体制)からの脱却」が可能だと考えているのではないか。

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 だが、安倍首相の歴史認識と強引な政治手法は、抑止力を高めるどころか、東アジアの緊張を高め、相互不信を助長している。「戦後レジームからの脱却」を進めようとすればするほど、米国との間にすき間が広がる。

 沖縄を「不沈空母」化して中国を封じ込めようとする考えは、沖縄戦と米軍統治を経験した沖縄の人々には、とうてい受け入れられないし、日中関係の改善にも役立たない。相互依存の時代にふさわしい新たなアプローチを採用すべきだ。