【浦添】「いやいや、もうね、恥ずかしいんですけど」-。それが口癖の長嶺勝子さん(69)だが、やることは大胆だ。8月5日に70歳を迎える節目に、家庭菜園をオオゴマダラのチョウ園に造り変えてしまった。開園記念タオル300枚を準備して友人知人に配り、毎日のようにチョウ日記を付け、見学にやってきた近所の子どもたちにはデジタルカメラで写真を撮ってプレゼントする。(平島夏実)

長嶺勝子さんを中心に(左上から時計回りに)記念タオルを持つ夫の栄徳さん、さなぎを持つ近所の島袋春香さん、オオゴマダラを捕まえた高江洲美柚さん=25日、浦添市当山の長嶺さん宅のチョウ園

 勝子さんは70歳を目前に考えた。980グラムという低体重で生まれた孫の怜奈さん(18)が今春就職し、2番目の孫のみゆさん(14)は無事中学生になった。夫の栄徳さん(76)とはドライブでハンドルを交互に握り合うほどラブラブ。  最近は2人ともしまくとぅばの練習にハマっている。「いいこと」がどんどん続く今こそ、まわりに何か恩返ししたい-。そこで思い立ったのが、浦添市内で目にしたオオゴマダラ園を庭先に造ることだった。

 縦2メートル、横4メートル、高さ2メートル。網を張った空間には多いときで20匹が舞う。勝子さんのチョウ日記によると、逃げた1匹を追って隣近所を探したものの見つからず、その2日後に偶然戻ってきて「感動しちゃった」こともある。食草のホウライカガミを絶やさず、金色のさなぎに傘をさしてやるなど“わが子”同様の愛情を注ぐ。

 「自分の子ども3人は、どんなふうに育てたか覚えてないくらいあっという間だったから、せめてと思ってね」

 評判を聞きつけて訪れる当山小の子どもたちには、18年続く趣味のカメラで来園記念写真を撮ってやる。高江洲美柚(みゆ)さん(8)と島袋春香さん(8)は「こんなチョウ園、私が70歳になってもできなそう」と勝子さんのパワーに目を見張る。

 チョウ園の完成後、夫婦げんかは減った。栄徳さんが「年を取ると口論する気がなくなってくるのかな」と笑う隣で、勝子さんは「チョウチョと話をしているからよ」と自信たっぷり。40年以上連れ添い、お互いに“肌がなさより肝(ちむ)がなさ(外面より内面の魅力)”を実感している長嶺夫妻である。