米軍普天間飛行場を名護市辺野古沿岸部へ移設しようとする安倍政権の問答無用の姿勢がむき出しになっている。

 11月の知事選前に海上でのボーリング調査などの既成事実をつくるため、全国の海上保安本部から巡視船十数隻をかき集め、キャンプ・シュワブ沖合をはじめ、沖縄近海に展開している。海上でカヌーなどを使って反対行動をする市民らを排除するためだ。

 陸上ではキャンプ・シュワブのゲート前で資機材を運び込む大型トラックを阻止しようと体を張って座り込む市民と、警察官との衝突が続いている。いつ不測の事態が起きてもおかしくない。

 安倍政権が移設を「負担軽減」というのはまやかしである。新基地には米海兵隊の強襲揚陸艦が接岸できる軍港機能が備えられ、最新鋭のステルス戦闘機F35の運用を想定。中部訓練場上空の訓練空域を拡大する考えだ。シュワブの陸上にも多数の軍関連施設を建設する計画であることが明らかになっている。

 オスプレイの配備を環境影響評価(アセスメント)の最終段階である評価書の段階になって初めて記載したように、これらは究極の後出しじゃんけんか、米側からもたらされる情報だ。政府が徹頭徹尾、情報を隠したまま負担軽減といってはばからない。だまし討ちである。

 新基地ができると北部訓練場、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンと一体となった一大軍事要塞(ようさい)が形づくられるのである。これのどこが負担軽減というのだろうか。

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 政府が工事を進めるのは仲井真弘多知事の「承認」があるからだ。仲井真知事は2期目の出馬に当たって「普天間の県外移設」を掲げ、1期目の公約を転換して当選した。

 再選した仲井真知事の公約の肝だ。それを自ら覆して承認したのは、どんな理屈をつけようが県民に対する裏切りである。しかも移設問題を最大の争点にした名護市長選では移設に断固反対することを公約に掲げた稲嶺進市長が再選されているのである。

 仲井真知事は、辺野古移設が普天間問題を解決する最短の方向だと言明するまでになっている。県民の生命と財産を守るのが知事の最大の使命だ。県民同士を衝突の前線で争わせながら、知事の振る舞いは人ごとのようである。安倍政権の強権発動に高みの見物を決め込むつもりなのだろうか。一触即発の元をたどれば仲井真知事の承認に行き着く。不測の事態が起きた場合に知事はどう責任を取るつもりなのだろうか。

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 2013年1月、県議会各会派、41市町村長・議会議長らが署名し、安倍晋三首相に提出した「建白書」は1995年以来の県民総意の到達点だ。普天間の閉鎖・撤去、県内移設断念、オスプレイの配備撤回である。「オール沖縄」から自ら進んで、または中央の圧力に屈し離脱したのが自民党国会議員であり、県連であり、一部首長らである。

 このままでは沖縄は半永久的に基地から逃れられない島になる。子や孫の世代から承認の責任を問われたとき、知事はそれに答えられるか。