生き物が好きで、大概は見るのも触れるのも平気だが苦手な連中はいる。特に重たげに飛ぶ昆虫を見ると、思わず身が縮む。飛んだ瞬間から彼らが「どこに止まろうか」と迷ってるようで、目標にされては、と逃げ出してしまう

 ▼故に、夏休みのヒーロー、カブトムシやクワガタも苦手な存在だ。だが先日、国の天然記念物ヤンバルテナガコガネ発見30周年の記念講演会を聞き、複雑で個性的な虫の世界に興味が湧いた

 ▼昆虫は地球上で歴史の長い生命体。白亜紀やジュラ紀などの恐竜時代から生き延び、生態や種類を多種多様に進化させ栄えてきた。「虫の星」とも呼ばれる地球では、大先輩なのだ

 ▼国内最大の甲虫、ヤンバルテナガコガネは1983年、国頭村の普久川ダムで作業員が発見した。保護下に置かれるまでに20万、50万円もの値で売買された。現在も密漁は横行し、夜間パトロールなどで森の財産を守っている

 ▼過剰な採取や外来種の侵入、自然破壊など人の手で「恐竜時代から生き延びた生き物も簡単に消える」と講演者。コガネに限らず、長く紡いだ命を摘み取る責任は重い。海も同じだ

 ▼名護市大浦の海に魅了され、埋め立てを悲しむ水中写真家は「海の中は上から見ても分からない」と訴える。どんな世界が広がっているのかを知ってほしい、とつぶやいた。(儀間多美子)