いったい少女の心に何が起きていたのか。目を覆いたくなるような凶行に走らせたのは何か。あまりにも衝撃的な事件である。

 長崎県佐世保市でクラスメートを殺害した容疑で高校1年の女子生徒が逮捕された。遺体は逮捕された女子生徒が1人で暮らしているマンションで見つかった。首と左手首が切断され、犯行に使ったとみられるハンマーやのこぎりがそばにあった。女子生徒は「すべて1人でやった」と供述し、遺体切断も認めた。

 動機について女子生徒は「人を殺してみたかった」「遺体を解体してみたかった」という趣旨の供述をしているという。言葉を失う。

 警察は、殺害後に遺体を解剖しようとした可能性もあるとみており、精神鑑定を求めることも検討しているという。凄惨(せいさん)な犯行に至る経緯を明らかにするとともに、殺害当時の女子生徒の心理状態を解明することが不可欠だ。

 2人が通う高校は「2人の間にトラブルがあったとは把握していない」としている。女子生徒は「会いたいと自分から誘った。殺すために自分の部屋に2人で行った」と供述しているという。一方で被害者に対して「個人的な恨みはなかった」とも話し、警察の捜査でもトラブルは確認できなかったとしている。

 不可解なことが多すぎる事件である。識者は「怨念が蓄積されなければ、遺体をこうした状態にするようなエネルギーは出ない」と言う。少女が抱えた心の闇をどう解き明かしていくのか。深く重い課題である。

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 事件は防げなかったのか。

 逮捕された女子生徒は、母親を昨年病気で亡くした。父親は再婚し、生徒は実家を出て1人暮らしを始めた。小学校時代からスポーツに打ち込み好成績を残した一方で、小学生の時、給食に洗剤を混入させる問題行動を起こしている。過去に小動物を解剖したこともあるという。

 子どもの問題行動は、周囲の大人に対するSOSのサインである場合が少なくない。 女子生徒が通う高校では、生徒が1人暮らしであることや家庭環境は把握していたとするが、生徒は1学期に3日しか登校していなかった。中学時代の担任教諭が週1回程度訪ね、相談に乗ったりしていたという。

 事件との関連は不明だが、母親の死などが、女子生徒の大きなストレスになった可能性がある。高校側の対応は十分だったのか、専門家も交えた検証が必要であろう。

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 佐世保市では、2004年に小学6年の女児が同級生をカッターナイフで切り付け殺害する事件が起きた。市は6月を「いのちを見つめる強調月間」とし、命の尊さを学ぶ行事を続けている。事件から10年を迎えた先月1日には、事件のあった小学校で集会があり、「自分とみんなの命を大切にします」と誓ったばかりだった。

 教育関係者や地域社会の衝撃は計り知れない。だが、命の尊さを繰り返し説いていくことが重要だ。今回の事件を起こした女子生徒が、命の大切さに向き合うためにも。