無垢(むく)、無邪気で愛される子どもの心にも残酷さの種は宿っているだろう。小さな昆虫をいじめた苦い記憶がある。その種の成長は、大人になるにつれ抑えられていく。だが不安定な思春期を迎え、ときに種が魔物の芽を伸ばして、世間に暗い影を落とすことがある

 ▼また、10代によるむごたらしい事件が長崎県佐世保市で起こった。15歳の被害少女は、快活で大学の文学部に進む希望を持っていた。その歩き始めた道が無残に閉ざされてしまった

 ▼やがて社会に出て働き、親にもなったであろう人生を思うと、両親の「大切な宝物でした」とのおえつが胸に痛くしみる

 ▼通夜の葬祭場へ弔問に来た同級生らに、両親は声を上げて泣きじゃくり、娘を忘れないよう懇願したという。同級生も地域の人たちも衝撃と悲しみに打ちひしがれていることだろう

 ▼「人を殺して解体してみたかった」。16歳の加害少女は、にわかには信じられない供述をしているという。凄惨(せいさん)すぎる現場は想像を超え、専門家の心理分析もしっくりとこない。せめて加害少女の心の闇の解明を望みたい

 ▼それにしても新聞を開けば、むごい殺人が、戦争で命を奪われた人の悲しみが、平和を守りたい市民の悲鳴が、いっぱいである。最近は叫びたい衝動にかられる日が続く。人の大事な命だ、暮らしだ、人生だ、と。(宮城栄作)