アドベンチストメディカルセンター(=AMC、西原町)で、終末期に緩和ケアを受ける人への週1回の「ホスピス・コンサート」が15年目を迎える。病んでいる人や家族を少しでも慰めたい-。母親の最期を支えられ、現在は職員となった金城裕子さん(59)と、病室に足を運びサクソホンを奏でた、母親の主治医だった故喜久里衛医師ら4人で始めた取り組みはボランティアを巻き込み広がっている。

ホスピス・コンサートで「時間よ止まれ」のリクエスト曲が流れ、ボランティアらと喜びを共有する患者(手前)ら=29日午後、西原町・アドベンチストメディカルセンター

 初期メンバーはこのほか、元職員の新城民夫さん(71)と歯科医の川満三奈子さん。プロ・アマの20人余が火曜日昼すぎに順番で緩和ケア病棟ロビーを訪れる。

 29日はベッドや車いすの人や家族ら約30人が集まった。医師や牧師、ボランティアらがギターやピアノなどで奏でたのは賛美歌や唱歌、民謡、歌謡曲など幅広いジャンルの16曲。リクエストの「G線上のアリア」を佐久本大輔さん(31)がチェロで奏でると、目を潤ませる人もいた。

 「八重山の『なんた浜』です。ご存じの方は一緒に歌ってください」。5年目の高良ナリ子さん(67)が歌う民謡に、目を閉じて小さく口ずさむ人たち。ベッドで横たわる患者の手を握り、優しく声を掛け続けるボランティアの姿もあった。

 夫が数カ月前から病棟にいる60代の女性は「毎週火曜日は癒やされる時間。すごく楽しみで、励みになっている」と笑顔で話した。

 音楽の力を感じるというギターの国吉栄次さん(64)。「意識がもうろうとしても曲を聴くと目が光る人もいて、感動で胸が詰まることがある」と言う。金城さんは「誘われたときは母のことを思い出すのがつらかったが、自分が癒やされたことを思い出してお手伝いさせてもらっている。喜久里先生の遺志を引き継ぎ、必要とされるのなら他の病院でも演奏したい」と話す。(溝井洋輔)