児童生徒を守り、成長をサポートすべき教育の本来の姿を破壊するあるまじき行為だ。小、中学校の校長を歴任し、今年3月まで県教育庁のナンバー2を務めていた人物である。しかも子どもたちをネット被害から守るガイドライン作成の責任者だった。教育行政に対する県民の信頼は完全に失墜してしまった。

 那覇署と県警少年課は30日、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで、県教育庁参事兼中頭教育事務所長(59)を逮捕した。

 容疑者は今年4月26日、沖縄本島中部のホテルで、女子中学生(14)に現金1万数千円を渡し、みだらな行為をした疑いが持たれている。

 容疑者はホテルで会ったことは認めているものの「18歳未満とは知らなかった。性行為はしていない」などと容疑を否認しているという。

 容疑者と女子中学生はインターネットの出会い系サイトで知り合ったという。

 出会い系サイトといえば、2013年8月、あっせんグループが女子中高校生らを出会い系サイトを使って集め、県内外に派遣して売買春させていたとして摘発された事件がすぐに思い出される。

 危機感を募らせた県教委や県警は同年9月、「青少年をネット犯罪から守る県民集会」を開き、アピール宣言で「大人として責任と自覚ある行動を」などと県民総ぐるみで事件の再発防止を訴えた。

 容疑者は当時、県教育庁ナンバー2の教育指導統括監で、事務方トップとして集会開催を主導した。

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 売買春事件を受け、県教育庁は県立高校の全生徒を対象に実態調査を実施。SNSなどのコミュニティーサイトを利用したことのある775人が何らかの被害に遭っていた。金銭、暴力と続き、ストーカー被害80人、性的被害も78人に上った。携帯電話などで知り合った人と実際に会った生徒は6262人もいた。いずれも衝撃的な結果である。

 県教育庁は関係機関とプロジェクトチームをつくり、今年3月「子どもたちがネットトラブルに巻き込まれないために」と題した冊子「ネット被害防止ガイドライン」を作成。容疑者は編集委員長の重責を担っていた。

 冊子にはネットをめぐる小中学校、高校生の危険性を示す実態調査を盛り込み、「ネット社会の7つの常識」の一つとして「怪しいサイトや見知らぬ人に近づかない」ことや、インターネット・トラブルの事例として「誘い出しによる性的被害や暴力行為」を具体的に挙げている。

 容疑者の行為は、自ら関わったこのガイドラインを裏切ることばかりである。

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 県警によると、13年に摘発されたサイバー犯罪のうち、児童買春・ポルノ禁止法、県青少年保護育成条例、児童福祉法違反で計31件が摘発されている。18歳未満の被害者は25人ですべて携帯電話やスマートフォンを利用していた。

 児童生徒はいま夏休み中だ。インターネットのない生活は考えられなくなった。子どもたちが被害者にならないようネットとの付き合い方の指導はやはり大人の責務だ。