ゾウに襲われる命の危険にさらされながら、自宅から15キロ先にある学校に2時間かけて通うケニアの兄妹がいる。かと思えば、インドでは弟2人が手作りの車いすに乗った兄を押しながらの4キロの道のりだ

▼話題のドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」は、けなげに学校へ向かう子どもたちをシンプルに描き、感動を呼ぶ。大自然の道なき道を行く小さな歩みとまっすぐな瞳が、郷愁を誘いながら、学びの本質を思い起こさせてくれた

▼長年教育に携わってきたこの人には、沖縄の子の目の輝きがどう映っていたのだろうか。中学生への児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで30日に逮捕された中頭教育事務所長(59)のことだ

▼容疑を否認しているが、事実だとしたらこんなに悔しく、怒りに震えることはない。子どもたちの性被害を防ぐための対策を主導的に担ったことがあるのだから、何をか言わんやだ

▼先月にはポルノの単純所持でも取り締まれるように同法を改正、厳しい目が向けられた直後でもある

▼「世界の果て」ではない沖縄の子どもたちには、通学路の物理的障害を乗り越え、学べる幸せを実感することはほとんどないはずだ。今回の事件が、思春期の子どもたちの心理的な通学路を険しくさせないか、そのことばかりが気になって仕方がない。(与那嶺一枝)