先日、行方不明の徘徊(はいかい)認知症者が1万人を超えたというショッキングな報道がありました。年々増加の一途をたどっているようです。

 この背景には、予想を超える認知症者の増加があります。高齢者(65歳以上)のうち認知症の人は約15%で、2012年時点で462万人をうわまわったことが厚生労働省から発表されました。推計される軽度認知障害(認知症になる可能性がある人)の人約400万人をあわせると65歳以上の25%が、80歳を超えると40%の人が認知症関連疾患となる計算になりました。

 高齢化社会の日本は、世界中のどの国も体験した事のない認知症800万人時代を迎える事になる訳です。世界では認知症の人は4400万人に達し、2050年頃には1億3500万人、実に日本の総人口に匹敵する人が認知症になると予想されています。

 認知症は、エボラ熱の様に劇的に命を奪う訳ではなく危機感が高まる疾病ではありません。しかし、確実な治療法が確立されていないために人的、社会経済的に多くの損失を与える脅威の存在である事を私たちは自覚しなければなりません。誰が、これらの人たちを支える莫大(ばくだい)な医療、介護、福祉費用をまかなうのでしょう? 既に世界各国では国家戦略的に大幅な予算を投じその解決策を模索しています。

 日本では、認知症国家対策として「オレンジプラン」(2013年から5年間)を発表しています。沖縄では、この数年で(1)県認知症疾患医療センター開設(2)認知症の人と家族の会沖縄支部設立(3)若年認知症の人と家族の集い等が活動をはじめました。各地域で行われていた認知症に対する草の根活動も、大きな束になり県民を支える準備が整ってきています。

 認知症予防は「早期発見、早期加療」が鍵です。一人一人が認知症に関心を持ち、発見者になる事で多くの不幸を防げます。現在そのための「認知症サポーター養成」が進んでいます。何かを特別にする訳ではありません。認知症を正しく理解し、自分のできる範囲で認知症の人や家族を見守る応援者になるだけです。どなたも参加可能です。

 いま私は、宮古島で「オール宮古オレンジ大作戦」と銘打って、認知症カフェを開催し、全島民対象に認知症サポーター養成を実施中です。できれば沖縄全住民が認知症サポーターになり、例え認知症になっても世界で一番安心して徘徊できる島になる計画です。いいと思いませんか?

(竹井太・うむやすみゃあす・ん診療所)