旧盆や正月の時季に、多くの買い物客でにぎわう那覇市の第1牧志公設市場。精肉、鮮魚など110軒が並ぶ「県民の台所」だ。今年の旧盆は8日にウンケー(お迎え)、10日はウークイ(送り)。旧盆を前に、「うふまち」と呼ばれた同市場で長年、店頭に立つ人に、市場の移り変わりやしまくとぅばとのかかわりなどを聞いた。(社会部・内間健)

さまざまな肉を取りそろえた第1牧志公設市場の精肉店=那覇市牧志

 終戦から2年たった1947年、開南や松尾にかけて自然発生的に露天の商店が立ち始めた。48年に那覇市が現第1公設敷地に商人を集めた。50年に公設市場として開設した。

 又吉竹子さん(73)は1963年ごろから、公設市場で精肉業を始めた。やんばるから豚を仕入れた。カミアチネー(売り歩いた)し、得意先を広げた。チビジリー(皮付きもも肉)、ヒサガー(肩肉)、ボウジシ(ロース)、グーヤー(赤肉)-。大型小売店が増える1970年半ばまでは「何でも売れた」。

 旧盆前は、市場は各地からの買い物客であふれた。「ちゅーや、わんねー、7月しし、買(こ)ういが(今日は、旧盆用の豚肉、買うよ)。上等から売りよーやー」。良いものを求めようと、お客さんが来た。

 旧盆用には煮付けや角煮になるハラガー(三枚肉)、中味汁になるビービー(中味=腸)、ソーキブニー(あばら肉)などがよく出る。また、又吉さんがいつも店に置くようにしているのはチムグァー(レバー)。貧血や目にいいという。

 半世紀、この道一筋に市場を見つめてきた又吉さん。「市場には新鮮な商品がそろっているよ」。市場をアピールする熱意は、今も変わらない。

 仏壇の供え物に欠かせない果物。上原ヒロ子さん(85)は、終戦直後から果物を中心に、商品をバーキ小(ざる)に乗せ、市場近くで露天で販売。新たな第1公設ができた72年に市場に果物店を構えた。「お客さんは『ミカンぐゎー、くぉーら』(みかん買おう)と来たよ」。今では旧盆の定番になったパインも、露天で商売していたころにはなかった。今は県外向けマンゴーが商売の中心。「時代が変わったね」。

 かまぼこ店で約40年、店頭に立つ玉城幸子さん(70)。「40年くらい前は、市場では全部しまくとぅばだった。お客さんには『こうてぃ、めんそーれ』と声をかけていた」と振り返る。しまくとぅば独特の持ち味が、市場を活気づけた。「旧盆ではみんなかまぼこは使う。ふだんの2倍くらいは売れたかな」。

 今は、おにぎりかまぼこなど新商品も増えた。本土や外国の観光客が多く訪れるが、県民にも市場に足を運んでほしいと思う。「まちぐぁーに、めんそーれよー」。