県知事選への立候補を表明した仲井真弘多知事がここにきて、辺野古移設を積極的に容認するようになった。

 7月26日、自民党県連の出馬要請を受けた仲井真知事は、辺野古移設が「最短の方向」だと述べ、従来の主張を翻した。8月1日の記者会見では「政府が取り組んでいる方向を現実のものにするということが極めて現実的」だと指摘し、普天間問題が解決の方向に進んでいる、との認識を示した。

 昨年12月、辺野古埋め立てを承認した仲井真知事は「県内移設にノーと言ったことはない」と、隠密裏に進めてきた政治判断を正当化し、その一方で、県外移設の「公約を変えたつもりはない」と主張し続ける。

 埋め立て承認前と承認後の知事発言の振幅はあまりにも大きい。開き直りの正当化を重ねれば重ねるほど、落差が際立つ。

 2010年4月25日、仲井真知事は、「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し国外・県外移設を求める県民大会」に出席した。

 同年9月の県議会では、県外移設を求める理由として「地元の理解が得られず実現が難しい」ことを上げた。

 その年の11月には、県外移設を公約に掲げて2期目の当選を果たし、12月に入ってさっそく菅直人首相を訪ね、県外移設を要請した。

 そのころ仲井真知事は「辺野古移設は事実上不可能」だと口癖のように指摘し、日米合意の見直しと県外移設を主張していた。

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 仲井真知事は埋め立てを承認する前まで、記者会見やインタビューなどに答え、「辺野古移設に固執するのではなく、もっと早く現実的に移設できる県外の場所を探すべきだ」との趣旨の発言を繰り返してきた。

 昨年6月23日の慰霊の日には、平和宣言で「一日も早い普天間飛行場の県外移設」を求めた。知事が会長を務める沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)もこれまで、政府に県外移設を要請してきた。

 12年2月に沖縄防衛局に提出した環境影響評価書に対する知事意見では「国内の他の地域への移設が、合理的かつ早期に課題を解決できる方策である」との考えをあらためて示した上で、評価書で示された環境保全措置では「自然環境の保全を図ることは不可能」だと指摘した。

 一体、どのぐらいの県民が急転直下の姿勢転換を予想し得ただろうか。

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 辺野古埋め立ての中止を求め、代わりに佐賀空港への移設を要求すれば過去の主張との一貫性は保てるが、今や知事は辺野古積極推進論者である。

 仲井真知事は、普天間飛行場の危険性除去を強調し、辺野古に移すことと県外に移すことは主張として「併存しうる」と語る。埋め立て承認を正当化するために事後的に編み出した苦し紛れの理屈である。埋め立て承認をめぐる知事の一連の言動をどう評価するか。普天間問題は知事選の最大の争点だ。