沖縄県内で自衛官募集業務の一部を受託実施する市町村数が、41市町村体制となって以降最多の35に上ることが3日、分かった。全体に占める割合も85%で過去最多。ただ、このうち2割は、国が支払う委託費を受け取らず予算をかけてまで協力はしない「消極的な協力」で、自衛隊との間合いになお苦慮する県内自治体の姿がうかがえる。

自衛官募集業務への県内市町村の対応

 自治体による自衛官募集業務への協力は、自衛隊法などによる法定受託事務の一つ。各市町村は、知事が告示した試験日程を広報誌などで案内するほか、募集ののぼりや懸垂幕の掲示、説明会場の貸し出しなどを行っており、費用は国が委託費として負担する。

 こうした募集業務への協力を行っているのは、県が協力を始めた1980年度は当時の53市町村中3割強の19市町村のみだった。沖縄戦の経験から根強い反自衛隊感情があり、保守系でも実施をためらう市町村長が多かったとされる。

 しかし、県の指導のほか自衛隊による県内離島からの救急医療搬送や不発弾処理活動などを受け協力に転じる市町村は徐々に増加。2002年度以降の「平成の大合併」で一時減ったが、県内41市町村体制となった06年度以降は、10年に石垣市、11年に今帰仁村が相次ぎ協力に転じ、協力自治体は35となった。協力を拒否する自治体は、中部を中心に本島の6町村。

 今帰仁村では、11年の東日本大震災で実施された自衛隊の大規模な災害派遣を見て、拒否から協力への転換を決めた。ただ、村の広報誌やホームページにも募集案内は掲載せず、自衛隊作成の募集パンフレットを窓口には置くが「無くなってもこちらからは補充請求しない」(村)ほど、目立たない対応にとどめる。そのため国からの委託費は受け取っていない。

 與那嶺幸人村長は、依然地域に残る反自衛隊感情や集団的自衛権行使容認への懸念なども念頭に「積極的ではないが、災害時に住民を守る立場から自衛隊を拒否もしない対応」と、「消極的な協力」を始めた複雑な胸の内を明かす。

 県によると、自衛官募集に「協力」しつつ国からの予算は使わない、こうした「ゼロ交付」の自治体は、拒否の6町村以外に8市町村ある(14年度)。支払われる委託費が平均3万円程度しかなく割に合わないと話す担当者もあり「消極的な協力」の内容もさまざまだが、「地域内のあつれきを避けつつ自衛隊ともお付き合いはする」(県幹部)市町村側の半身の姿勢が、協力自治体増加の一因にありそうだ。