琉球泡盛の醸造で使う黒麹(こうじ)菌と、関連する食文化のユネスコ世界無形文化遺産登録を目指す準備委員会が4日、発足した。準備委には小泉武夫東京農業大学名誉教授(琉大客員教授)ら泡盛に詳しい研究者や料理研究家、酒造業界の代表ら13人が就任。11月30日に那覇市で開くシンポジウムで黒麹菌の有用性や文化的価値などをアピールし、広く県民と情報を共有、世界遺産登録に向けた機運を盛り上げ、将来的な県民運動につなげる考えだ。

東京農大名誉教授の小泉武夫氏(右から3人目)ら準備委員会の委員=4日、県庁記者会見室

 4日の会見には、準備委に就任した小泉氏のほか、安田正昭琉球大学名誉教授、琉球伝統料理研究家の松本嘉代子・松本料理学院長、泡盛マイスター協会の新垣勝信会長らが参加した。

 醸造学や発酵学、食文化論に精通し「和食・日本人の伝統的な食文化」の世界遺産登録活動に関わった小泉氏は、「和食の次の世界遺産は沖縄の黒麹菌だと考えていた」と、登録を提唱したと説明。

 世界遺産登録の価値について「酒造りに黒麹菌を使う文化圏は沖縄だけ」と指摘し、約460年前に中国からタイを経由して琉球に伝わった歴史のほかラフテーや豆腐ようなどの食文化、抱瓶(陶器)を生んだと説いた。

 小泉氏は「世界で沖縄にしかない黒麹菌の文化圏。世界遺産としての価値は十分ある」とした上で、「登録に向けては県民運動が一番重要。一人一人がこれに挑戦し泡盛文化を発信する。そういう強い気持ちがなければ世界遺産とはならない」と強調した。

 [ことば]黒麹菌 泡盛の醸造に古くから用いられてきたコウジカビ。原料である穀物のでんぷんを糖質に変える役割がある。酒の製造過程でクエン酸を大量に生成するため、ほかの麹菌に比べてもろみを強い酸性に保ち、雑菌による腐敗を抑えることができる特徴がある。温暖で多湿な沖縄の気候風土に最も適した麹菌とされている。