【南風原】浦島太郎の物語と似た「うさんしー伝説」の伝わる与那覇区が3日、公民館で、言い伝えを基にした劇を上演した。地域を知り、区民に誇りを持ってもらおうと1年がかりで作り上げた劇。砂川美知子区長(66)は「物語の展開や衣装など、地域が協力してつくった劇。祭りに大勢の人が来たし、大成功ではないか。子々孫々まで伝えていきたい」と喜んでいる。

南風原町与那覇区に伝わる伝説を、地元の高校生や舞踊家らが上演。ラストシーンでは、神となったうさんしーが現れた=3日、与那覇区公民館

 うさんしーは漁師で、与那原の浜でニライカナイの女性の落とし物を拾った。恩返しにと案内された桃源郷で楽しい日々を過ごしたが、恋しくなって帰った古里は長い時間が経過。悲しみに暮れたうさんしーは、開けてはいけないと渡された箱を開ける、という物語だ。

 約40分の劇は、集落の綱曳きの前に行われた。2年前に町文化協会郷土芸能部が創作・上演した約90分の劇を、綱引き前に行うためコンパクトにして再構成。演出や大道具、衣装・小道具を区民が担当し、地元の舞踊家や高校生ら14人が出演した。

 うさんしーが渡ったニライカナイのにぎやかさを、子供たちが縄跳びやかけっこ、地域の女性による舞踊で表現。おじいさんになったうさんしーが、豊年を願って綱曳きをしようと訴えた後、区民が東西に分かれて綱を引いた。

 伝説を形にしようと長年訴えてきた新垣敏区長代理(50)は「50年、100年と続け、物語を膨らませ、組踊になるなど発展してほしい」と期待。琉球舞踊の実演家で、神女役で出演した高嶺久枝さん(57)は「一人一人が力を持ち寄って、大きな力になった」と期待した。区では来年以降も継続して上演するという。

 うさんしーの生家と墓は公民館近くにあり、地域の守り神としていまも大切にされている。劇と綱曳きは、伝統芸能復活を支援する町の一括交付金事業から約140万円を活用。劇は、綱曳きの一環として行われた。