児童虐待が増え続けている。全国の児童相談所が2013年度に対応した児童虐待の件数は、7万3765件(速報値)で過去最多を更新した。前年度に比べ10・6%も増加した。

 厚生労働省は、虐待通告のあった子のきょうだいも心理的虐待の被害児として対応したことや、母親へのドメスティックバイオレンス(DV)に関連し警察からの通告が増えたことが、大幅増の要因とみている。

 家庭という密室で弱者である子どもに被害が及ぶ児童虐待は、外部からは見えにくい。顕在化した事例は氷山の一角ととらえるべきだ。

 神奈川県厚木市で今年5月に男児の遺体が見つかった事件では、父親がアパートに置き去りにし、十分な食事を与えずに衰弱死させたことが明らかになった。

 児童虐待は、身体への暴行や性的虐待、心理的に傷つける暴言だけではない。親が育児を放棄(ネグレクト)し、食事などを与えず放置することも含まれる。

 さいたま市では昨年8月、1歳8カ月の女児がエアコンのない自宅に18時間放置され、熱中症で死亡した。群馬県では昨年2月、外国籍の母親が14歳と3歳の女児をアパートに置き去りにして帰国し、次女が餓死した。大人の身勝手で幼い命が奪われたのである。

 共同通信の全国調査では、自宅や路上などに置き去りにされた18歳未満の子どもが11年度から13年度までの3年間に24都道府県で395人いた。子どもたちが危険にさらされている実情が、浮き彫りになった。

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 県内では6月、パチンコ店の立体駐車場に止めた車内に生後5カ月の男児を6時間あまり放置し、熱中症で死亡させる痛ましい事件が起きた。

 被疑者の母親は、事件当日までに少なくとも十数回、わが子を車内に残してパチンコをしていたとされる。

 子どもの車内放置の危険性は繰り返し指摘されてきたが、同様の事件は全国的に後を絶たない。なぜ、幼い子どもの安全を後回しにしてまでパチンコに長時間はまったのか、ギャンブル依存の視点からも考える必要がある。

 親の責任は厳しく問われるべきだが、断罪するだけでは再発防止は難しい。

 育児不安や孤立、DVなど依存症に陥りやすいさまざまな背景に目を向け、それぞれの専門機関が連携して対策に取り組むべきだ。

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 児童虐待に詳しい沖縄子どもの貧困解消ネットワーク共同代表の山内優子さんは、「子どもの放置に社会が敏感になることで、事件防止にも役立つ」と指摘する。

 夜間、親が働きに出る。非正規雇用や困窮世帯が多い県内では決して特殊な事例ではない。だが、幼い子どもだけを自宅に残せば、火災や落下事故などのリスクが高まる。危険なのは車内放置だけではない。

 県内の児童虐待はネグレクトの多さが際立つ。子どもの放置を早期に把握し、支援につなげるネットワークが重要だ。