縦割り行政や制度のはざまで困っている人を支えようと、社会福祉士・石川和徳さん(45)=那覇市=が独立した事務所を開いて8月で2年を迎えた。高齢者や障がい者の施設、自治体などに所属することが一般的な業界の中で、フリーとして働く沖縄県内の草分け的存在。個別の相談を受けながら、地域のネットワークに加わるフリーの社会福祉士の育成を目指し奔走中だ。(溝井洋輔)

研修でコミュニケーション能力の向上を伝える石川和徳さん(中央)=那覇市内

 社会福祉士は福祉や生活の援助を必要とする人の権利を守り、自立を支援する専門職。全国で約17万7千人、県内で約1800人いる。独立した事務所を開く社会福祉士は県内で10人前後とみられるが、地域ネットワークの構築や、より専門的な能力を持つ人の育成を掲げるのは唯一という。

 静岡県出身の石川さんが来県したのは社会福祉士に登録した2001年。医療法人で介護専門員として働き、県社会福祉士会(竹藤登会長、461人)では成年後見・権利擁護委員長などを歴任し、現在は地域支援委員会の担当理事。

 独立した石川さんの仕事の内容は幅広い。家族と疎遠になった高齢者の依頼を受けて、引っ越しを希望する出身地の自治体や家族との交渉、将来の後見制度を約束した高齢者の見守りなど相談内容によってさまざま。大学や専門学校の講師も務めるほか、県内各地でのセミナーや虐待などの相談もある。

 独立の大きな動機となった人材育成への思いも強い。困りごとが市町村をまたがるなど制度からもれた人を支えるためには、地域で自由に動けるフリーの社会福祉士は欠かせない。独立後の10年間で、県内からフリーの社会福祉士100人超の誕生を目指している。

 「社会福祉士は相談・援助を通して人々の幸せのお手伝いをする大切な仕事」という石川さん。「(専門的な能力向上の指導をする)スーパーバイザーを養成する独立の原点に立ち返り、自らがフリーの社会福祉士のモデルになれるようにしたい」と、3年目からの意気込みを語った。