イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスによる72時間の一時停戦は、8日午前8時(日本時間同日午後2時)、双方が停戦延長に合意できないまま、期限切れを迎えた。

 ハマスは期限切れ直後にパレスチナ自治区からイスラエル南部に向けて数十発のロケット弾を発射。イスラエル軍がガザ北部を報復空爆し、少年1人が犠牲になった。

 一般市民の犠牲をこれ以上増やさないためにも、本格的な戦闘再開はなんとしても避けたい。恒久停戦に向け、イスラエル、パレスチナ双方が歩み寄り、交渉を重ねるべきである。

 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの軍事作戦を開始して8日で1カ月。国連のまとめでは、この間のイスラエル側死者67人(兵士64人)に対し、ガザでは約1900人が死亡、その大半が一般市民だった。

 避難民は最大で推計約52万人に達するという。

 7月30日には国連が運営するガザ北部の学校が砲撃され、子どもを含む少なくとも19人が死亡した。イスラエル寄りの米国務省でさえ「恥ずべき砲撃」だと強い調子で非難したほどだ。

 イスラエル側は、ガザから発射されるロケット弾を迎撃ミサイルシステムで撃ち落としているが、人口密集地のガザに住む住民には建物に逃げ込む以外にイスラエル軍の攻撃から身を守るすべがない。

 圧倒的な軍事力の差を背景にした「非対称的」な戦闘によって多数の民間人が犠牲になっているのである。それが再び繰り返されるのか。

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 イスラエル側は「ハマスは民間人を人間の盾にしている」と批判する。ハマスがガザとイスラエルの間に攻撃用トンネルを設けたことなども、安全への危機感を深めた。

 イスラエル側にも言い分はあるだろう。だが、ガザ攻撃を自衛権の正当な行使だとは認めがたい。軍事行動が度を超しているからだ。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは7日、イスラエル軍が病院や医療関係者を故意に攻撃対象とした疑いが濃くなっている、との非難声明を発表した。

 ピレイ国連人権高等弁務官は、非戦闘員の保護を定めた「国際人道法違反の可能性が高い」と指摘する。

 イスラエルが自国の安全確保のためハマスの武装解除などを求めているのに対し、パレスチナ側は2007年から続いているガザの封鎖解除などを要求、今後の交渉の見通しはまったく立っていない。

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 戦闘が再び本格化すれば、民間人の犠牲がさらに増えるのは明らかである。これをどう防ぐか。

 米国のオバマ政権は、イスラエルによるガザ攻撃を自衛権の行使だと認め、イスラエル寄りの立場を堅持しているが、一方的な肩入れではなく、仲介役・調停役としての役割を強めていくべきだ。

 イスラエルや欧米諸国が「テロ組織」に指定しているハマスを承認し、ガザの封鎖を解除する。それが結果としてイスラエルの安全保障にもつながるような道を米国主導で打ち出すときである。