企業が所有する商品の在庫や売掛金を担保に融資する動産・債権担保融資(ABL)の県内実績が上がっている。県内地銀3行の2013年度実績は計76件と前年度から2倍超に伸長。企業からは「借り入れの選択肢が増え、経営に役立つ」と評価の声が上がる。融資後は担保価値や売り上げ状況などの企業経営を把握する必要があり、企業に寄り添った金融機関本来の業務もでき、3行とも融資担当者の成長にもつながると期待する。(照屋剛志)

ABLの担保となったシークヮーサー果汁(勝山シークヮーサー提供)

 「担保の少ない企業でも機動的に融資を受けることができ、安定経営に貢献している」。昨年1月にABLを受けた勝山シークヮーサーの山川良勝代表は業績拡大につながったと評価する。

 農業生産法人の同社は、農地や製造工場を所有するが、農地はほかの事業への転用が難しいため担保価値が低い上、名護市の補助事業で建設した工場は担保にできず、思うように融資を受けられなかったという。

 商品になる前のシークヮーサー果汁を担保に1千万円を借り入れた。通常なら、商品を販売しないと現金が手に入らないが、製造過程での融資で、農家への支払いも早まり「農家の生産意欲向上にもつながる」と喜ぶ。

 県内地銀3行は融資の幅が増え、企業経営を支えられるとして、2年ほど前からABLに力を入れている。担当者を配置するなどで、13年度実績は沖縄銀行40件(前年度24件)、沖縄海邦銀行22件(同3件)、琉球銀行14件(同6件)と3行とも増加。本年度も13年度を上回るペースで推移しているという。

 担保の種類も増加。車エビや肉用牛、太陽光発電設備、リース用のクレーン車、医薬品などと多岐にわたる。

 動産担保は、不動産と違い、管理状況によっては価値が変わることもあるため、融資後は企業に通い、都度確認する必要がある。担当者は「ただ訪れるだけでなく、経営者に会って、事業の進展や経営の悩みなども聞くことができる」と金融機関にもメリットがあると強調。実際の商品の流れも把握でき、決算書だけに頼らないアドバイスも可能になるとし、ABLを活用して融資担当者の育成にもつなげたい考えだ。