幅十数センチの小さな側溝をのぞく楽しみができて1カ月になる。台風8号が去った直後、そこにすむオタマジャクシに気づいてからだ

 ▼すみかは、擁壁の穴から流れた水をわずかな土と石がせき止めて、偶然できた高さ2センチほどの水たまり。大雨にはせきが崩れてないか、晴天には家主が干上がってないかと、どきどきして童心に返っている

 ▼自然界の小さな命が台風8号の猛威を乗り越えたのかは分からないが、人には「数十年に1度の災害」が予想されるときに、最大級の警戒を呼び掛ける「特別警報」に伴う課題が残された

 ▼県民の半数近くに上る約68万人もの人に避難勧告が出たが、実際に行動へ移したのは947人にとどまった。市町村の判断の遅れや認識不足に加えて、勧告を出した22市町村中、17市町村が危険な地域に絞らず全域としたことも影響したらしい

 ▼台風では全国初の特別警報だっただけに、自治体の担当者の戸惑いは大きかったのだろう。住民側も避難対象が全域といわれてもピンとこず、聞き流したのかもしれない

 ▼地震と違い、数日前からある程度襲来が予測できる台風の特徴を防災に最大限生かさない手はない。米国生まれの行動計画表タイムラインというお手本もある。防災に一喜一憂は許されない。備えあれば憂いなし。備えの中身は万全で臨みたい。(与那嶺一枝)