【名護】米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は14日、キャンプ・シュワブ沿岸の海上に施工区域を明示するブイ(浮標)やフロート(浮具)の設置を始めた。昨年12月に仲井真弘多知事が埋め立てを承認後、海上作業が初めて本格化した。準備が整い次第、近くボーリング調査を実施する。その結果を踏まえ、秋までに実施設計をまとめる方針だ。本年度内の埋め立て本体工事の着手を目指している。

海上保安庁のゴムボート(手前)が見守る中、数珠つなぎにフロートを浮かべけん引していく作業船=14日午前11時30分ごろ、名護市辺野古(松田興平撮影)

 台風の影響でスケジュールが遅れており、防衛局は作業を急いでいる。一方、地元の稲嶺進名護市長をはじめ、反発は根強い。反対住民は「海にくいの一本も打たせない」と激しく抵抗する構えだ。普天間飛行場の返還発表から18年、沖縄は重大な局面を迎えた。

 シュワブ沿岸の海上には同日早朝から海上保安庁のゴムボート、警戒にあたる漁船など約40隻が展開。小型の作業船に黄色のブイを積み込み、作業員が少なくとも7個を海上に浮かべた。

 また、7月に設定した臨時制限区域(561ヘクタール)の内側で、数珠つなぎになったオレンジ色のフロートをシュワブの海岸線を囲うように設置した。ボーリング調査の対象区域になるとみられる。

 建設に反対する住民らはカヌーやボートで現場海域に出て、阻止行動を展開した。ゴムボートに乗った海上保安庁の職員らとにらみ合い、緊張が高まった。沖縄本島地方には波浪注意報が発令されており、波の高い状況が続いた。防衛省関係者によると、ブイやフロートの設置は1週間以内に完了する見通し。

■「国の暴挙だ」名護市長 憤り

 【名護】ブイ設置を受け、稲嶺進名護市長は14日、海外出張先から「激しい憤りを禁じ得ない。今後も政府の暴挙に強く抗議する」とのコメントを発表した。

 政府は、1月の市長選で示された、新基地建設反対の民意を無視して計画を強硬に進めてきたとし、「地元への情報提供もないまま、環境アセスも不十分な埋め立てに向けた調査の強行は、地域の人権と豊かな生物多様性を踏みにじり、民主主義国家の体をなしていない」と強く批判。今後も「海にも陸にも新たな基地を造らせない」の信念を貫き、市民、県民と不退転の覚悟で臨むとしている。

■「僕に聞かれても」知事は淡々

 仲井真弘多知事は14日、米軍キャンプ・シュワブ沿岸にブイ(浮標)などが設置されたことに、「作業の一つ一つを僕に聞かれてもどうにもなりませんよ。事業をやってる防衛省に聞いた方が早い」と述べ、評価を避けた。

 「辺野古の作業は反対があって難しいのでは」という質問に対しても「その質問、僕にしても全然意味がない」と答え、一貫してコメントを控えた。

 仲井真知事は、出張先の香港へ向かう前、那覇空港で報道陣に答えた。