沖縄防衛局は名護市辺野古の新基地建設で、施工区域を明示するブイやフロートの設置に着手した。海上保安庁が海を、県警が陸を厳重に警戒し、阻止行動を遠ざける中で、粛々と作業を進めた。政府が力ずくで押し切らなければならないのは、直接行動する人たちの背後にも、建設反対のうねりが広がっていることを知っているからだろう。その場しのぎの計画では、今後の混乱が目に見える。(政経部・福元大輔)

米軍キャンプ・シュワブ沿岸で始まったブイの設置作業に抗議するカヌーと警戒する海上保安庁のボート(右端)=14日午前9時10分、名護市辺野古沖

 日米両政府は6月、キャンプ・シュワブ周辺の約561ヘクタールを臨時制限区域に設定し、共同使用することに合意。一般の人たちが立ち入りできない海域を大幅に広げた上で、実際の作業では海保の巡視船やゴムボートを動員した。

 政府にとって、カヌーやボートを使った阻止行動の対策は大きな課題だった。ブイ設置では業者との契約内容を防衛省内の秘密に指定するなど手の内を明かさず、周到に準備してきた。「失敗は許されない」という強い思いがにじむ。一方で、10年前から辺野古のテント村で座り込む団体のメンバーらは「海にくいの一本も打たせない」と海上を“主戦場”と、捉えてきた。抗議が強まるのは確実だ。

 普天間問題の原点は、言わずもがな危険性の除去だ。そのために政府は一日も早い辺野古移設を目指すが、そこに隔たりがある。

 沖縄では1950年代、銃剣やブルドーザーで米軍に土地を奪われた経緯がある。今も全国の米軍専用施設面積の74%が集中する。この先、50年以上も居座る基地の建設を受け入れることはできない-。昨年1月の政府への建白書が象徴するように、そんな声が沖縄を包むようになってきた。

 政府は「県民の頭ごなしには進めない」と繰り返してきたが、現場の風景は「頭ごなし」以外の何物でもない。問題を解決するのは政治力のはずだ。警察力をちらつかせ推し進めれば、政府への反感だけが際立つ。普天間の危険性除去の道のりさえ混沌(こんとん)としかねない。政府は立ち止まって考える必要がある。