黄色やオレンジの色鮮やかな浮具が14日、名護市辺野古の北側、大浦湾の青い海に浮かんだ。米軍普天間飛行場の返還に伴う新基地建設に向けた、埋め立て工事の区域を示すブイ。「これ以上、沖縄に米軍基地はいらない」。熱い思いに突き動かされて心身を削り、巨大な軍事基地を造らせまいと声を枯らし、訴えてきた人々の願いは無視された。

 地域の人々に慈しまれ、文化や生活の中に溶け込み、そして多くの生き物が住む豊かな海だ。だが波間に見え隠れするフロートが海上に描いた線は、政府が県民を威圧し、封じ込め、排除するための目印でもある。これから始まる、沖縄の長く苦しい闘いのスタートラインとなった。

 2004年に政府が着手したボーリング調査は、住民の粘り強い反対運動で中止に追い込まれた。10年がたち、再び動きだした基地建設の計画を今度は確実に遂行させるべく、国家権力は以前にも増し、なりふり構わず住民に牙を向けている。

 ブイ設置作業を最前線で食い止めようと海に出た市民のカヌーや小型船は、待ち構えた海上保安庁のボート十数隻に取り囲まれ、「先には行けない」と威圧された。先日は、市民らが抗議活動を続ける米軍キャンプ・シュワブゲート前に突然、仮設フェンスや鉄板が張り巡らされた。

 どちらも根拠は不明だ。そもそも、入ってはいけないとする「制限水域」の境界線が波の上に見えるのだろうか。強まる風雨で市民が動きにくくなる悪天候をこれ幸いとばかりに、海上で強引に作業を推し進め、わが物顔で支配する姿は、横暴きわまりない。

 戦後69年が過ぎた今、また海を埋め立て、米軍基地を造ることを許すまいと、ゲート前には子どもからお年寄りまで300を超える人が駆け付けた。「私たちは諦めない。その必要もない」。力強い訴えは静かな波紋のように広がり、大きなうねりとなって県民の力に変わる。(北部報道部長・儀間多美子)