「作業の一つ一つを僕に聞かれてもどうにもなりませんよ」「防衛省に聞いた方が早い」。仲井真弘多知事(74)の言葉にあぜんとした。米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設でブイ(浮標)などが設置された14日、記者団に語ったものだ

▼記者が問うたのは作業の内容や手順ではない。リーダーである知事に新基地建設の着工に対する所感を求めたのだ

▼「防衛省に」と答える姿勢には、問題をたらい回しにする官僚的発想がみえる。出馬表明後、質問が基地問題に集中することにいら立ちがあるのだろう。だからといって、埋め立てを承認した本人が逃げられるわけではない

▼知事選に向け、普天間問題の論戦はさらに熱を帯びる。近く出馬を表明する翁長雄志那覇市長(63)は県内移設に反対する建白書を堅持する姿勢。今後、埋め立て承認を撤回するのか、当選後の展望をどう示すのか-、具体的な政策が求められる

▼元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)は嘉手納統合案、辺野古容認など考えを二転三転させてきた。今回は県民投票を掲げる。これまでの政策の曲折を説明するべきだ

▼政治家が発する言葉が沖縄の政治を動かし、未来を決める。一言一言に注意を払い、その動きの一つ一つに目を凝らしていかないといけない。16日、県知事選の投開票まで3カ月になった。(与那原良彦)