琉球ガラス工芸協業組合(糸満市、大江聖彌代表理事)が、吹きガラスの技術に加え、完成したガラスを加工する研磨・カット技術の本格導入に取り組んでいる。ガラス工芸で長い歴史を持ち「ベネチアングラス」で知られるイタリア・ベネチアから世界トップクラスの職人を招き、今後、沖縄から職人を派遣するなど相互の人材交流を本格化させる。海外の高度な技法やデザインを取り入れ、世界で通用するブランドの構築に乗り出す。(長浜真吾)

ベネチアガラスの技術を披露するシモネー・チェネデェーゼ氏(中央)、土田康彦氏(右)、琉球ガラス工芸協業組合の職人たち=5日、糸満市の琉球ガラス村工房

土田氏の作品

シモネー氏の作品

ベネチアガラスの技術を披露するシモネー・チェネデェーゼ氏(中央)、土田康彦氏(右)、琉球ガラス工芸協業組合の職人たち=5日、糸満市の琉球ガラス村工房 土田氏の作品 シモネー氏の作品

 琉球ガラスは1400度の高温で溶解されたガラス原料を吹き棹(さお)などを使って成形する「ホットワーク」が制作の主体。コップや皿などの観光土産品が多数を占めており、新たな技術の習得で品質の向上や、製品のバリエーションを増やすことなどが課題だった。

 日本人で唯一、ベネチアに工房を構え、世界的な展示会で数々の受賞歴を持つ土田康彦氏が5月下旬から来県し、同組合が運営する琉球ガラス村の工房で職人と交流。9月まで滞在予定で、同氏が得意とする完成したガラスに研磨・カットなどを施す「ホールドワーク」の技法で作品を制作している。

 3~5日には、土田氏の友人で世界トップクラスのベネチアガラス職人、シモネー・チェネデェーゼ氏が工房を訪問。琉球ガラスでは見られない、高度な吹きガラスの技法を使って、土田氏との共同制作に取り組んだ。

 ベネチアの工房外で初の制作に挑んだシモネー氏は「沖縄の職人は高い技術を持っているが、マンネリ化の部分も感じる。新たな技術に挑戦してオリジナリティーを強調し、ブランディングすることが重要」と指摘。

 土田氏も「琉球ガラスはホールドワークが充実すれば、さらに可能性が広がる。ベネチアの工房に職人を受け入れたい」と定期的な交流に意欲を示した。

 約5年前から、土田氏に交流を要望してきた同組合の稲嶺秀信専務理事は「トップレベルの職人から多くの技、考え方を吸収し、琉球ガラスの新境地を切り開きたい。業界全体の刺激、底上げにつなげたい」と話している。

 [ことば]ベネチアングラス イタリア北東部の町ベネチアで制作されるガラス工芸の地域ブランド。発祥は13世紀ごろとみられる。吹きガラス、複雑な装飾に高度な技術を誇り、華麗、繊細な色彩やデザインで知られる。琉球ガラスと同じく、原料に鉛を含まないソーダ石灰を使用することが特徴。