「8月14日を国連記念日にしよう」と呼び掛ける集会が今月、国内外18都市で開かれている。1991年のこの日、韓国人の金学順(キムハクスン)さんが初めて日本軍「慰安婦」被害者として名乗り出た

▼大戦中、日本軍が所有・管理した慰安所は数百カ所、その跡地は沖縄だけで135カ所発見されている。そこにかつて日本や韓国、中国、フィリピン、オランダ、タイなどさまざまな国の女性が集められた

▼終戦を迎えた日本軍は女性たちを戦地に放置。心身の傷を抱え見知らぬ土地で生きた女性も多いが、戦後長くその犯罪性が問われることはなかった

▼意に沿わない性行為は暴力という認識が社会に薄く、被害者が沈黙を強いられたことが背景にある。だからこそ金さんの告白は被害者の光となった。各国で声が上がり、92年宮沢喜一首相(当時)は公式謝罪した

▼なのに最近の紆余(うよ)曲折はどうか。朝日新聞が男性作家の証言に基づく一部の慰安婦記事の取り消しを報じ(6日付本紙)、それを受け自民党の石破茂幹事長は経緯を国会でただすべきだとした

▼90年代に各紙も報じた同証言が疑問視されて久しい。女性たちの被害に偽証が上塗りされた可能性もあり深刻だ。だが慰安婦問題の本質が変わるわけではない。日本軍が女性の人権を踏みにじった事実は消えない。(黒島美奈子)