局地的な豪雨に見舞われた広島市で土砂崩れや土石流が発生。多くの住宅がのみ込まれ、21日午前0時現在、39人が死亡、7人が行方不明となっている。捜索・救助活動に全力を挙げ、一人でも多くの命を救ってほしい。

 なぜ、これほど被害が拡大したのか。徹底した検証が必要だ。まず避難勧告の問題がある。災害が発生した安佐南区、安佐北区を襲った豪雨は、想像を超えたものだった。安佐北区では、20日午前1時半から3時間の降雨量が平年の8月1カ月分を超え、観測史上最大を記録した。

 広島市は午前3時半ごろ災害対策本部を設置した。広島県などは午前1時15分、大雨による土砂災害の危険が高まったとして、広島市などに「土砂災害警戒情報」を出していた。

 安佐南区から「土砂崩れで、男の子2人が生き埋めになった」と、消防に最初の被害通報があったのは、午前3時20分ごろ。広島市が避難勧告を出したのは午前4時15分以降で、被害通報があってから約1時間が経過していた。

 そのころまでには「土砂で生き埋めになった」「川で流された」など被害の通報は200を超えたという。

 昨年10月の伊豆大島の土石流災害では大島町が避難勧告を出さず、被害が拡大したと指摘された。これを教訓に国は、災害時に市町村が避難勧告を出す際の目安となる指針を改定。「空振りを恐れず早めの避難勧告を出す」ことを促している。もっと早く住民を避難させる機会がなかったか、悔やまれる。

    ■    ■

 過去の災害の教訓は生かされなかった。土砂崩れが起きた地域は1999年6月にも豪雨による大規模な土砂災害が発生し、多数の犠牲者が出ているのである。

 広島県は花こう岩が風化してできた「まさ土」と呼ばれる地質が広がる。この地質は水を含むと崩れやすくなるという。現場周辺は、もろい地盤の山を切り開いて宅地が開発されており、土砂災害の多い地域として知られていた。

 県はこれらの地域を「土砂災害警戒区域」に指定していたが、それで対策が十分だったとはいえない。危険な地域に住んでいるという認識が住民に浸透していたか、周知活動の検証が求められる。

 避難行動が難しい夜間に発生した不運も重なった。土砂災害から身を守るには事前の避難しかない。過去に土砂災害の歴史がある場所なら「万が一」という危機感はなおさら必要だった。

    ■    ■

 沖縄では大型台風への万全の備えが大切だ。7月の台風8号の際は、台風で全国初の「特別警報」が出された。避難勧告の周知など課題は残ったが、いざというときの対策を忘れてはならない。

 災害発生時の対応には、自分の身は自分で守る「自助」が基本である。さらに地域で助け合う「共助」、行政などによる「公助」も欠かせない。その上で危険な場所が身近にないか、緊急時にどう行動し、どこに避難するか。日ごろから確認しておきたい。災害への備えに十分過ぎるということはない。