その瞬間、かすかに鳥肌が立った。予定より4分ほど早く始まったシュプレヒコール。「新基地建設をやめろ!」「埋め立ては許さないぞ!」。7月からの約1か月半、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前の抗議集会で何度も耳にしたフレーズだ。しかしこの日のそれは数十人、100人前後で訴え続けてきたこれまでとは全く違った。

 ゲートに沿って延びる狭い歩道を長々と埋めた3600もの人々の声は、遠く、近く、幾層にもなって響き渡り、空気を揺らした。埋め立てに向けた作業が進む青い海に向かって、力強く突き上げられた数えられないほどの拳。一人一人の胸にじわじわと湧き出した怒りが、ついに一つの形になった。沖縄は、ウチナーンチュは、新基地建設を黙って見過ごすわけにはいかないのだ、と。

 今年1月の市長選で「移設反対」を掲げた稲嶺進市長を選んだ名護市民、約7割が移設に反対する県民の願いは聞き入れられることなく、今月18日、辺野古の海に杭(くい)が打たれた。数万年もの年月をかけて多くの命を育んできた海を壊し、わずか9年半で巨大な軍事基地を建設するという。

 民意は無視され、建設に抗議する市民が高圧的に押さえ付けられる姿を見聞きしながら、多くの人はじっと“遠い”辺野古への思いを胸に押さえ込んでいたのだろう。「もう、居ても立ってもいられなくて」「自分の目でしっかり見ておかねば」。那覇、糸満、宜野湾、今帰仁…、あふれ出した気持ちに突き動かされ、老若男女が辺野古に足を運んだ。県民は怒っている、と伝えるために。

 なぜ沖縄なのか。本当に海を埋め立てる必要があるのか。その問いに正面から向き合うことなく、政府の強行は続くに違いない。それでも私たちは、声を上げ続ける。沖縄の未来に向かって。(北部報道部長・儀間多美子)